地味顔眼鏡と言われた私は国一番の美人の妹に陥れられ婚約破棄された。男は女の顔しか見てないのですか…。ならこの方法を使って復讐しますわ。
「それはそれで味がある顔だと思うが」
「ヘンリックの目が悪いだけですわよ」
「素直に褒めてる。私は眼鏡が似合う女子が好きだ」
「眼鏡同好会の委員長に褒められてもうれしくないですわ」
私は目の前で眼鏡をくいっとあげる見かけはクール系男子の青年ヘンリックに向かってため息を返しました。
部屋中に貼られる眼鏡女子の絵画。
変態といえばいいのか、私の従兄のヘンリックは見かけはいいし、頭もいいのですがこの性癖のせいで今まで婚約者が決まらない眼鏡フェチというやつでした。
どうしてこの変態従兄のところにいるかといいますと……。
『エミリア・フォール。お前は妹のミリアをいじめた罪により婚約破棄し、ここに断罪する!』
私は卒業の魔法学園の舞踏会で婚約者の王太子に婚約破棄を宣言され、妹が新しい婚約者に。
そしてなぜか私は卒業さえできずに退学を宣言され、妹いじめの罪で辺境送りといわれて……。
逃げ出して、この変態従兄の下宿先に逃亡していました。
「世の至宝である眼鏡女子を婚約破棄するとは許せんな」
「ずれてますわヘンリック」
この従兄は、一応隣国の魔法研究所の研究員で。私の逃亡に力を貸してくれたのはよかったのですが。
「でもここを突き止められたら……」
「大丈夫だろう、王家も叔父上だってここまで調べる度胸はないだろうし、まあゆっくりしていけ、あ、できたらお前の絵画を!」
「……相変わらずですわね」
ヘンリックはこの性癖のせいで、実家から縁切りされてここにいます。
一応伯爵の家の長男なのに眼鏡女子を付け回し、眼鏡女子のグッズとやらを集めたり。
眼鏡女子という括りがあり、着替えをのぞいたりしていないとはいえ……。
「ヘンリック、相変わらず眼鏡同好会の会長ですの?」
「お前も眼鏡女子を愛でる会議に出席をしてくれないか?」
「遠慮しておきますわ」
私はヘンリックの魔法構築の話を聞いたとき、興味を引いた魔法があり、その魔法を教えてほしいとお願いしたのですが。
「あんなくそ魔法?」
ヘンリックは眼鏡女子の絵画を眺めながら返事をします。私の眼鏡の色が気に入らないなとこちらを見て言いますがほかにないのですか!
「ヘンリック、その変態趣味なんとかしないと叔父様許してくれませんわよ」
「私は昔からこうだ!」
「はい……」
私はこのくそ真面目で一途な従兄を嫌いじゃありませんでしたが、昔からこれでして。
私を至高の眼鏡女子とやらというのがちょっと嫌でした。
「しかし成長魔法加速化か、これは悪用されると……」
「復讐ですわよ。復讐にしか使いません!」
「あのバカ女にか、ならいいか」
バカ女とは妹です。よくヘンリックのことを変態! と言ってましたからねえ。
彼は魔法の構築式を教えてくれました。しかしヘンリック、眼鏡女子と言ってますが、簡単に私をかくまってくれましたし意外にいい人ですわよね。
「眼鏡女子は貴重だ、お前はその中でも」
何か言いかけてやめて、私の企みを聞いたヘンリック。
笑う顔は嫌いじゃないのですわ、眼鏡女子をめでる会は次回は……とかいうところがなければですけど。
「きゃああああああああ、私の、私の髪が、私の顔が、私の、私の私の!」
一夜にして老婆と化した妹の悲鳴が響き渡ります。
私は水晶玉に映し出されるその光景を見て思わず笑ってしまいました。
「持続時間は1週間程度だがいいのか?」
「ええ。あの美貌がなくなった妹の、あの顔、あの顔、見ててものすごくうふふ」
「眼鏡女子の笑顔もいいものだな」
「ヘンリック……」
「まあ冗談はおいておいて、お前の退学を取り消しをしてもらった。卒業資格があれば、お前を研究所に推薦することもできるがどうする?」
「え? ああ身近で眼鏡女子を愛でたいとかですか」
ヘンリックが頭を抱えて、どうしてそうなる! と焦っています。
しかし眼鏡女子を愛でたいのなら私以外もいますがねえ。
「私は、お前の眼鏡姿が好きなんだ! でもお前、私を昔避けてただろう? 私はなお前に似た眼鏡女子の絵画を描くようになってな。あ、ストーカーなんぞしてないし、あとをつけてもないぞ。あれは勝手に言い出したやつらがいてな」
「……」
確かに昔私ヘンリックを避けてましたわ。どうにもこうにも眼鏡眼鏡眼鏡ってうるさいのですわと思って。
「お前が好きなんだ!」
「はあ」
「……信じてないな」
「あれだけ眼鏡女子眼鏡女子言われたら……」
私もヘンリックは嫌いじゃないですけど、私はにこっと笑いかけて、研究所のお話は受けますわと言いました。そして眼鏡女子を愛でるのなら、どうやって愛でるのか教えてくださいなと言います。
「信じとらんな」
「時間をかけて知っていきましょう」
妹は婚約破棄されてぽいされましたわ、でもねえ見かけだけが大事って殿下も性格悪いですわね。
殿下と婚約してなくてよかったかもですわ。でもねえヘンリックの眼鏡女子趣味も微妙ですけど、でも嫌いじゃないですわ。困った顔の彼の横顔を見ながら私は笑ったのですわ。
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