間 幕
私は、三人を送り届けた後、お父様とお母様に報告した後、内密な話のため王の居間に向かった。
部屋の前でノックすると、「入れ」と威厳のある声が聞こえたので、中に入った。
「クリス、ただいま戻りました」
「うむ、我が娘たちを救ってくれたことに感謝するぞ。お陰で大事にならずに済んだ」
「いえ、その中に弟もおりましたので」
「相変わらずそなたの中にはレオスしかないのだな。一国の姫をついでとわな。他のものが聞いたら問題発言かもしれんぞ」
「私は気にしませんので」
国王もあんまり気にしてないのか話を切った。
私の前で口元に生えた白髭をなでながら温和かそうな顔で座っているのはこの国の国王、アルヴィス第八世、その人である。
「今、キサラから報告を受けてな。フレデリカたちを襲ったものの中に人間に化けた魔物がいたそうだな。念のため他の捕まえた者たちを調べたが、魔物に操られただけのようだ。おそらく何もおぼえてはいまい。それと、アーサーからとんでもない魔力が吹き出たのは魔王の復活が近いのかもしれん。言い伝えによれば魔王は転生するときに何かをするらしいんだが、その方法がわからん。それは、キサラに調べてもらうつもりだ・・・・・・クリス、アーサーは魔王の生まれ変わりだと思うか?」
先ほどの出来事は着くまでの暗視魔法で見えていた。そのことを踏まえてみると、
「その可能性は高いと思います。あの一瞬感じた魔力は今まで感じたことはありません」
「キサラも同じ意見か?」
「はい」
「・・・・・・そうか。できればあの子たちには何事もなく過ごしてもらいたかったがそうも言ってられんな。キサラ、魔王のことについて先祖が残した文献があるかもしれん。書庫を徹底的に調べてくれ。そしてクリス。魔物の動きが活発になるやもしれん。その動きに注意してくれ。あと、アーサーの異変を感じたらすぐに報告してくれ」
その後、二人は部屋を出て、それぞれのやるべき場所に向かった。
一人残った国王は我が娘たちの残酷な運命を呪わずにはいられなかった。