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器用貧乏なスライムは異世界で自由奔放に生きていく?  作者: ねぎとろ


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95話 『私の声帯ってどこ?』

 モンスターに逃げられ、新しいモンスターを探しながら草原を歩いていた私は、迷宮内では見たこともなく、当然地球でも見たこともない草や花、木の実なんかを見つけていた。


 勿論、木の実はスライム状態でまず毒味をし、麒麟に変態してから味わって食べている。

 毒があるかどうかは正直変化が一切ないから分からないけれど、予想以上に酸っぱかったり、甘かったりと多種多様な木の実を味わった。


 けれど、相変わらず私はモンスターに逃げられてしまっている。


 あーあ。また逃げられちゃったよ。

 どうしてなんだろう?

 未だに外に出てからスライムに出会ってないし、もしかして私がスライムって分からないのかなぁ。

 いや、にしても逃げすぎだよ。

 目があった瞬間に逃げてくし、モンスターによっては他のモンスターを食べてる最中にも獲物を置いて速攻走り去ってくしで、戦う事すらしようとしない。


 これ完全におかしいよね?

 私の姿が変なのかな?

 んー、いや、特に変化はなさそう。


 木の実が沢山生えているところには偶然にも澄んだ川があり、透き通った水に反射する自分の姿を見て、私はなにも変わってないことを再認識した。


 あ、でも待った。

 姿形は変わってなくても、中身が変わってるんじゃないかな?

 ってかその可能性が高いよね!

 さすが私! 閃きの達人だ!

 それじゃ、どうせ敵には襲われることはないし、ステータスチェックをしちゃおっと!



 ステータス


 名前:霧香

 種族:コピースライム『希少種』


 HP:14700/14700

 MP:3400/3400

 攻撃能力:140

 防御能力:8460

 魔法能力:420

 速度能力:750


 スキル:変身 物理攻撃激減 再生 変態 分裂 捕食 自爆 威圧


 ふぁっ!?

 うぇ!? なんだこれ!

 私のステータス上がりすぎでしょ! どうなってんの!?

 ……あー、麒麟を捕食したからか。

 確かに麒麟のステータスを見れば元のステータスが爆上がりしてても納得出来ちゃうかも。

 けどそれにしたって伸びすぎじゃない?

 正直防御力だけなら麒麟にも匹敵しちゃうよ?


 いやー、私強すぎだね。スライムの中では最強でしょ!

 んー、でもなんていうか原因を見つけちゃったらそんなに喜べないかなー。

 ぶっちゃけ他のモンスターのおこぼれで強くなってる感じだし、驚きはしたし、嬉しいけども、そんなに喜べないって感じ。

 それに、スキルだって増えてるけど、これも麒麟状態で恐らく常に発動していたであろうスキルだし、それがスライムにも引き継がれただけ。

 だから、私がスライムでも他のモンスターは逃げていったんだと思う。


 つまりだ。

 この威圧とかいうスキルは物凄く扱いづらいという事!

 だって考えてみて欲しいんだけど、こっちとしては食料がないと生きていけないのに、このスキルのせいで殆どのモンスターが食べれないんだよ?

 どうやって生きていくんだよ!

 草とか木の実だけじゃ生きていけないよ!


 はぁはぁ。

 ぐぬぬ。このスキルさー、スイッチの切り替えみたいにオンとオフで使い分けれないのかなぁ。


『常時発動スキルに関しては、ステータス欄において解除する事が可能です』


 っておい!

 なんか久々に聞いた声だけど、こんなタイミングピッタリに反応するとかおかしいだろ!

 明らかに私のこと見てるか、或いは心覗いちゃってるじゃん!

 あーあ、最悪だよもう。

 折角ステータスを見て良い気分だったのに、なんか台無しだよ。

 ま、情報は有難いけどね。


 それじゃ気を取り直して威圧スキルを解除しときますか。

 そうすればモンスターも食べれるし、ひとまずは安泰かな?

 あとは……おっと、そうだそうだ忘れてた。


 丁度木の実を食べてる時に透き通った川を発見したんだよね。

 これを使って反射させれば……よし! 完璧!


 これで私も人間の仲間入りだ!

 ふっふっふ。私の人間の街で暮らすという目的の一つもこれで達成出来そうだよ。

 ほんとこのスライムに生まれて良かったわ〜。

 普通のスライムだったりしたらまだ私は迷宮の中か、モンスターに食べられちゃってるもん。

 変身スキルやら変態スキルがあって良かった〜。


 さーてと、人間に変身出来たことだし、喋ってみよっと!

『……』


 あれ?

『……』

 ん? んー?

 おかしいなぁ。

 姿形は完璧に人間なんだけど、やっぱり中身がスライムじゃ無理なのかな?

 っていうかそもそも声帯がないから喋れるはずないかぁ。


 あ、ちょ、まっ、あー!

 ……はい。油断しました。

 そうだよ! 忘れてたよ! 変身は維持するの大変ってことを忘れてましたよ!


 喋れないことに気を緩めた私の体は、首やら腕がぐにゃぐにゃに曲がった形になってしまい、どこからどう見ても人間とは言えなかった。

 そもそも、最近は変態スキルばかり使っていたのも影響しており、それに加えて迷宮内で追いかけていた人間に変身したからこそ、上手く造形が思い出せず、維持するのが大変なのだ。


 んー、私の思い出せる人間……。

 姿や形がくっきりと思い出せるって言ったら、アレかなぁ。

 ってか最初からこれしかなかったよね。

 よし! 出来るか分かんないけどやってみよう!

 いざ! 転生前の私へと変身!

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