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器用貧乏なスライムは異世界で自由奔放に生きていく?  作者: ねぎとろ


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85話 『久しぶりに会話をしよう』

 マグマ地帯を早足で抜けようと思いつつも、進めば進むほどにマグマは増えていき、モンスターも相対的に増えていった。

 モンスターの種類としては以前とはあまり変わらないが、アンコウが弱いモンスターなのか、奥に進めばアンコウは一切いなくなった。

 その代わりに、ウナギが増え、極太のチンアナゴのようなモンスターまで現れた。

 しかも、チンアナゴは顔だけこちらへと出して、口に含んだマグマをこちらへと放ってくる。


 まるで私をマグマに落としたいが為に、わざと私に当たらないようにして避けさせつつ、数体、数十体のチンアナゴが私へと攻撃してきた。

 だが、今の私は浮遊が使えない。

 使えば確実に私が食われる。


 だから私は、また眷属召喚と分裂を使って囮作戦を決行する事に決めた。

 その結果、私の体力は5分の1程度まで減少したが、なんとかマグマ地帯を抜けることに成功した。


 そして、今現在私の前に広がる光景は幻想的としか言えない光景だった。


 綺麗に装飾された扉。

 それに加えて、隅に置かれている大量の財宝や宝箱。

 それも、宝箱に至っては幾つも存在し、見える限りで5つは置いてあった。

 明らかにこれは迷宮の最深部にしか見えず、私はこの光景を見て隠しきれない喜びが芽生えてきた。


 やった。

 やったやった!

 どうだ! やってやったぞ!

 私はこの迷宮のクリア一歩手前まで来たぞ!

 どうせアレでしょ?

 扉に入れば地上に戻れるとかそんな展開でしょ?

 って事はこの宝箱は私の物だよね!

 スライムだから武器とか防具は要らないけど、記念に取っておこーっと!


『……待て。触れたら汝は死ぬぞ』


 えっ!?

 なに? なんか声が聞こえたんだけど。

 しかも日本語!

 ……でもあれ?

 どっちかっていうと脳内に直接響いたような……。


 宝箱に触れようとした私を止めるように声が聞こえ、動きを止めた私の背後では、何者かが降りてくる音がした。

 その音に気付いた私が振り向くと、そこには2体のドラゴンが居た。

 全身がダイヤモンドのように輝くドラゴンと、私が見たゴブリン達と戦っていたドラゴン。

 近くで見ればその迫力は凄まじく、私の体はドラゴンから発せられる圧力で動かなくなってしまった。


『ふむ。ひとまず止まったか。ならば良い。先程汝が触れようとした宝箱はモンスターだ。擬態して上手く隠れているが、ここにある宝箱のうちの一つ以外は全て汝程度なら軽く噛み砕くぞ』


 ドラゴンが私に教えてくれた事は、この宝箱の危険性についてだった。

 どうやらこの宝箱は俗にいう擬態型のモンスターであり、名称はミミック。

 不用意に開けようとしたものを鋭い牙と大きな口で飲み込み、噛み砕いてしまうとの事だ。


 つまるところ、私は普通に死にかけたって事。

 いやー、危ない危ない。

 ホントに助かったわ。

 っていうか、こんなに宝箱あるのに正解は一つだけって事?

 それやばくない?

 ここまで来たのに死ぬリスクあるって最悪すぎでしょ!


 極悪非道なトラップに怒りつつも、生きているという事実に安堵し、ホッとしたのも束の間、今度はもう一体のドラゴンまでもが喋り始めた。


『あらあら。貴方に怖がってるじゃありませんの。そんな顔して話すから怖がられるのよ。もっと優しくしてあげなさい』

 えっ、ちょ、あの。

 怖いっていうよりも驚いているんですが……。

 そもそもドラゴンが喋りかけてくるとか想像すらしてなかったし……。

 いやまぁさ、私の命を救ってくれたようなもんだからあんまり悪くは言えないけど、それでもなんていうかな。

 もうちょっとさ、事前に話しかけますよーって教えてくれても良いんじゃないかな!?


『ふーむ。我ってそんなに怖かったのか……。まぁスライムならば怖がっても仕方がない』

『それよりもスライムがここまで来れたことに私は驚いていますけどね』


 あー、やっぱりスライムって弱い種族なんですね。

 薄々は分かってたけど、ドラゴンに言われるとなんかショックだなぁ。


『汝はなにか話せないのか? ここまでどうやって来たのか経緯を聞きたいのだが……』

『そうね。私もそれは聞いてみたいわ。この上の階層とかの話も聞いてみたいもの』


 2体のドラゴンに見つめられる私。

 そんな中でも当然私は話すことなど出来ない。

 つまり、絶体絶命の大ピンチ!


 どうする私!

 考えろ! このままじゃ怒らせて食われるぞ!

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