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器用貧乏なスライムは異世界で自由奔放に生きていく?  作者: ねぎとろ


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79話 『勝利をこの手に』

 意識がぷつんと糸が切れたかのように落ち、生きているのか死んでいるのかさえも確認していないスケルトンの前で私は無防備にも倒れ込んでしまっている。

 薄れていく視界というのもなく、本当に一瞬で落ちる意識。


 どれくらい倒れていたのだろう。そんな風に意識が落ちた瞬間のことを思い出しながら、今の私は立ち上がり、周囲を見渡している。


 スケルトンの姿は確かにある。

 煙もいつの間にか晴れており、二回目の自爆を受けたスケルトンの姿は私の視界に映り込んだ。


 そして、私の中で有り得ないという思いだけが浮かんだ。


 スケルトンは紛れもなく生きているのだ。ダメージで動けないのか、それとも回復しているのかは分からないが、私の視界に映るスケルトンは確かに生きている。

 それに、私をしっかりと見つめている赤く光ったその目には未だ殺意と戦意が残されているのだ。


 この戦いはどちらかが死ぬまで終わることはない。

 自爆によって死を経験したとはいえ、その死を味わうほどの痛みでは体力は減っていない。

 一回目の自爆によって経験し、二度目の自爆で私は理解した。

 元々自爆というスキルと分裂スキルを入手した時点で、この戦い方も使おうとは思っていたのだ。

 自分自身を犠牲にして戦うという最悪な使い方だけれども、あながち使い方自体は間違ってはいなかったと思う。


 けれど、蓋を開けてみれば全くもって違っていた。

 有用なんかじゃない。使うべきではないのだ。

 なにせ、分裂体を自爆させることによってさっきまで散々経験した、死ぬという感覚が私を襲うのだから。

 どういう原理なのかは詳しくは分からないけど、多分分裂体と私では目に見えない糸のようなものが繋がっているんだと思う。

 分裂スキルを再度使えば元に戻るように、分裂体も本当の私自身なのだ。


 だからこそ分裂体を自爆させた時、自爆によって感じる死という感覚が私にも伝わる。その死は物理的なダメージではなく、精神を侵すようなダメージとして私に伝わり、疑似的な死が私へと訪れるのだ。


 死を経験した。

 そうは言っても具体的に説明なんて出来ないし、誰かに説明しようとも思わない。

 そもそも今のこの場面以外二度と使いたくない。

 でも、ここまで自爆のリスクを理解した上でも私は今まさに残った体力で分裂体を生み出している。


 何度死を経験しようとも、今この場で本当に死んでしまっては全てが無駄になってしまうのだ。

 スケルトンを殺すと覚悟を決めたからには私は逃げない。


 私の体は既にボロボロ。

 スケルトンも同じ。

 つまり、お互いにどっちかが死んでもおかしくないという事。


 分裂体が生み出されていくのを見て、止まっていたスケルトンが選んだ攻撃は、武器もなにもない中で出せる唯一の攻撃、体当たりだ。

 スケルトンの圧倒的な力を見た者ならその攻撃が如何に有効かは理解出来るし、最後の決め手としては問題ないだろう。


 相手が分裂体でなければだ。


 既に力なきスケルトンが最後の力を振り絞って走ってこようとも、私の分裂体が生み出される方が早い。

 それに、私には空を飛ぶ力もある。

 魔力が切れるのは重々承知の上で、分裂体を生み出した後に私は空を飛んだ。


 狡いと言われてもいい。勝てばそれで良いのだ。


 分裂体とスケルトンが衝突したその時、私は分裂体に自爆を発動させた。

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