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器用貧乏なスライムは異世界で自由奔放に生きていく?  作者: ねぎとろ


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78話 『代償』

 戦いは終わり、スケルトンは生き残っていないか注意深く辺りを見渡す。

 その視線の先にはスケルトン自身によって作られた数々のクレーターやひび割れた地面だけが存在した。

 スライムには物理に対しての最強とも言える耐性があるものの、押し潰されては生きている道理はない。


 そう。きっと、スケルトンはそう思って私に背を向けたのだ。

 決着のついた今、無防備となった背中へと私は一体の分裂体を忍ばせた。

 その分裂体は今まで使っていた分裂体とは訳が違う。

 用途としては自爆用の分裂体だ。

 スケルトンが分裂体が近くにいる事に気付いた時にはもう遅い。

 激しい音と光が辺りを包み、スケルトンごと私の分裂体は自爆した。


 炎が燃え上がり、私が持っている中では間違いなく最強の一撃。

 分裂体という自分の分身を使うというえげつなさだが、そもそも自爆というスキルはこういう使い方をする為にあったのだと思う。


 自爆を受けたスケルトンの体は炎上し、悶えながらも火を消そうとしている。


 きっと、今頃スケルトンは困惑しているだろう。

 なにせ、スケルトン自身は確実に私を潰した感触があったはずなのだ。


 だがそれは誤りだ。

 正直危なかったけれど、私自身は潰れていない。あくまでも潰れたのは分裂体だ。

 私は分裂体が潰される直前に逃げて気配を消しただけ。


 だからこそ、私は生きていているのだ。


 でも、私自身の体力も少なくなっているのは言うまでもない。

 最初の分裂と、今の分裂、それに加えて自爆用の分裂だ。半分ずつ体力を使って生み出しているのだから、少なくなるのは仕方ない。

 それに、恐らくは自爆スキルのお陰で勝てたのだから体力なんて後で回復すれば良い。


 ーーっ!? が、あぁ……。


 痛い。痛い痛い痛い。なにこれ、これが死ぬっていう感覚なの?

 どうして? 私は生きてたはず。それにスケルトンだって、炎の中に包まれてまだ動けていないし……。


 ぐっ。はぁ、はぁ。

 やばい。意識が飛ぶ。頭がクラクラして視界は揺らぐし、心が締め付けられているような気さえする。

 もしかして、これって自爆スキルを使った影響?


 念の為悪魔の姿に変態しておいたからまだ良いものの、未だこの痛みに対処出来ない私へと向かってスケルトンは動き出した。

 しかし、自爆の威力を少しでも抑える為に使ったのか、スケルトンの持っていた剣は砕けており、盾も崩壊している。

 そんなスケルトンは弱っている私を狙って、拳で殺そうと襲い掛かってきたのだ。


 だが、動きは遅い。ダメージが大きかった影響で少なからずスケルトンにもダメージは残り、今の私の状態でもギリギリで避けられるくらいの遅さだ。

 だからこそ、私はフラフラな足をなんとか使い、横に倒れるようにして避けた。


 そして、デメリットを知っても尚私は分裂を使い、スケルトンの近くで私ごと自爆させた。


 一度味わった痛みならなんとか耐えられるかもしれないという考えと、スケルトンを確実に倒すには自爆を使うしかないからこそ、私は選択したのだ。


 私を巻き込んだ分裂体の自爆。

 それは耐えられるなんて甘い考えを持っていた私の脳を塗り潰した。

 耐えられるわけがない。これは紛れもなく死を経験しているのだ。

 先ほどとは少し違った感覚。魂が削られていくようなそんな感覚が私を襲う。

 そして、今度こそ私の意識は自爆によって生じた煙の中で落ちていった。

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