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器用貧乏なスライムは異世界で自由奔放に生きていく?  作者: ねぎとろ


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75話 『スケルトンVSスライム2』

 覚悟を決めた私は、威圧と殺意の視線をスケルトンへと向けた後、分裂スキルを解放する。

 切り札を取っておくなんて無粋な真似はしない。

 分裂した私の個体にすぐさま変態スキルを発動させ、同時に眷属召喚スキルを発動。


 そして、魔法の同時発動を開始。


 私の行動に少しの危機感を抱いたのか、スケルトンは盾を頭上へと構える。

 相変わらずの馬鹿力は片手でも健在であり、盾を構えながらでも振るわれる剣は一振りで何匹もの眷属を葬っていく。


 しかし、問題はない。

 眷属達はあくまで囮にすぎないのだ。

 本命は頭上からのダークレイン。

 幾ら全身を隠す程の盾を構えようとも、剣を振ることによって発生する少しの動きと、眷属達の微々たる攻撃によって鈍足化させる雨は嫌でも体へと付着する。


 これで最初の準備は万全だ。

 後は眷属がまだ生きているうちに出来る限りの魔法を放つだけ。

 と、思ったその時だった。


『ーーーー!!』


 声になっていないような叫びが広場中に響き渡り、それによって発生した衝撃が私たちを吹き飛ばす。

 降り注ぐ雨はかき消され、囲んでいたはずの眷属は吹き飛ばされている。

 私も分裂体はなんとか飛ばされずには済んでいるものの、数秒の間目を塞いでしまった。


 そして、目を開けたその時には私達の呼んだ眷属は全て消えており、肝心のスケルトンはあり得ないほどのスピードで私たちへと迫ってきている。


 近付く程に走るごとに増すスピードと共にスケルトンは盾を振り回すように投げ出す。

 私たちが左右へと逃げられないように角度を付けてブーメランのように。


 こうなってしまえば横に動く事はできない。

 全力で屈み、頭スレスレで避ける。


 スケルトンは盾が自身の手に収まると同時に私達へと剣を振り下ろした。

 ただでさえ一撃で死ぬかもしれない攻撃に加え、避ける事が難しい体勢。

 それに加え、まるで分かったいるかのように本体である私を狙った一撃。

 これも地面を転がる事によってなんとか避ける。

 割れた地面から飛び散る破片が私へとかすっていく。


 分裂体ではなく、本体である私を狙って追い打ちを賭けようとするスケルトン。

 ここまでくれば状況は最悪としか言えない。

 なんとか分裂体がフリーで行動出来るからこそ、まだ体制を立て直すことが出来るが、スケルトンを吹き飛ばすにはゼロ距離まで近付かないといけないはず。


 分裂体を失うというリスクはあるが、今なお迫る危機に比べれば安いリスク。

 既に自動的に動こうとしている分裂体へと命令を出し、スケルトンへと強制的に接近させた。

 私を狙うスケルトンの無防備な背中へと、分裂体は至近距離からウィンドブラストを放つ。


 近付けばスケルトンに狙われるかもしれないリスクはあったものの、結果的に分裂体をスケルトンが狙う事はなく、背中へとウィンドブラストは直撃した。


 いや、私の目からは直撃したかのように見えた。


 しかし、実際は違う。

 魔法が当たる瞬間、スケルトンは無理やり足を止めて盾を後ろへと構えたのだ。

 その結果として、盾とぶつかり合ったウィンドブラストの衝撃は分散。

 そして、強風だけが吹き荒れた。


 だが、強風如きでスケルトンの動きが止まるわけもなく、むしろ強風で目を閉じた私の首を斬り落とそうと、寝ている私に剣を突き立てる。

 一撃でも当たれば死ぬ可能性の高い攻撃だと分かっていながらも、目を閉じてしまった自分に後悔するが、悔いる時間は残されていない。

 今は避けるのが優先だ。


 不格好だろうとなんだろうと、私は横へと転がろうと考えた。


 痛ったぁぁぁぁあ!

 あ、あぁ。痛い、痛い痛い。

 う、ぐぅ。

 ……はぁ、はぁ。落ち着け。大丈夫。耐えれる。まだ死んでないんだから。


 私の行動を読んだのか、それとも動く瞬間を見てから決めたのか、スケルトンは狙いを首から私の腕へと変え、楔を打ち込むように私の腕へと突き刺したのだ。


 悪魔の体で物理攻撃も半減している筈なのに、気を失いそうになるほどの痛みが私を襲う。


 ーー!? 今度は足!?


 腕に剣を突き刺したままに、スケルトンが振り上げるのは大盾。

 振り下ろされれば切断されるのは間違いない。


 もはやスケルトンは私を殺すのに手加減もなにもする気はないのだ。

 動かなくして殺す。これがスケルトンのやり方。

 剣が私の力で引き抜けない今、私は少しでも生存確率を上げる為に今までで最大の選択をする事にした。

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