70話 『死ぬ時は皆一緒』
くっくっくっ。
蜂の巣にはまだまだ幼虫やらが沢山だぁ。
さーて、こいつらを目の前で殺されたらどう思うかなぁ?
はっはっは。
もう私に罪悪感などないんだ!
誰も私を止められない! 私はモンスターになったんだ! この世は弱肉強食! 弱い方が悪い!
って、こんなの私のキャラじゃない!
はぁはぁ。
ま、そうは言っても普通に捕食するから燃やすけどね。
いけ! 私の魔法! 『ファイヤーストーム!』
おおっ。
燃えてる燃えてる。
……ひぇ。
やばいやばい。なにこの殺気!
スケルトン並みとはいえないけど冷や汗が止まらないんだけど!
ま、まぁそりゃそうだよね。
目の前で自分たちの子供とか家を燃やされたら3匹とも殺気を私に向けたくなるよね。
いやー、戦う気満々だねこれは。
やばいかなぁ。この殺気を放てるってことは1匹1匹が相当強そうだ。
うーん。
勝てるかな?
ってか巣を燃やすの早すぎたなこれ。もうちょっと人質的な感じの扱いをすれば良かったよ!
くっ。後悔してももう遅いか。
よし! こうなったら相手になってやる!
もう動きを止められることはないし、全力で殺し合いだ!
もう逃げてきた私とは違うぞ! 今回で私の方が上だと蜂共に分からせてやる!
ってあれ?
戦わないの!?
あれれー? 巣に戻っていく感じ?
あー、そういう事ね。
助ける感じね。
時間が経っても出てこなくて、結局焼けて死んでいく。
どうやら女王蜂が死んだ今、一緒にみんな死ぬ道を選んだみたい。
あの殺気は恨みや殺意を込めた最後の呪いみたいなものだと思う。
ま、呪いなんて信じてないから効かないし、仮にこの世界にあったとしても知った事ではないけどね!
……。
…………。
よし!
焼却完了!
なにやらまだ生きている個体とか炎から逃げるために這い出た奴らが残ってるけど、そんなの関係ない!
敵が居ない今、私がやるのは食べることだー!
ま、悪魔状態でこんな真っ黒に焦げてる物は食べれないからスライムで溶かすんですけどね。
むしゃむしゃ。
『コピースライムとしての成長限界を迎えました』
『スキル:分裂を取得しました』
『成長限界に達した場合、成長限界にて入手したスキルを忘れることで能力はそのままでやり直すことが出来ます。やり直しますか?』
おっ?
今回は結構戦ったから早いな。
ま、私の選択肢は一つだよ。やり直す!
『やり直しの確認を致しました。ステータスをやり直します。これ以上のやり直しは出来ません。お疲れ様でした』
むむっ。
そうだった。もうこれから先私は限界突破出来ないのか……。
あー、でも待てよ? もしこの状態で成長を最大まで上げたら何かしらの事が起こるんじゃ……?
ま、いつになるか分からないし、とりあえず蜂の巣を全部食べちゃおーっと!
いやー、こうして見るとこの蜂の巣も大きいなぁ。
食べ切るまでどれくらいの時間掛かるんだろ。
焦げてるからなのか溶かしやすい分、消化自体は早いけど私のお腹が追い付かないよ。
かといって残していくのは勿体ないし……。
仕方ない。この部屋に数日滞在するかぁ。




