66話 『強くなりたい』
よし、気を取り直して、とりあえず成長限界に達したしステータス見てみよっと!
名前:霧香
種族:コピースライム『希少種』
HP:1400
スキル:変身 物理攻撃激減 再生 変態
お。
おおっ。
だいぶ強くなったなぁ。相変わらずスキルとかは何も変わらないけど、最後には『分裂』とかいう如何にも凄そうなスキルを覚えることは確定からオッケー!
よーし、次は変態時のステータスを確認するぞ!
ステータス
名前:霧香
種族:コピースライム『希少種』 (変態状態)
HP:3150
スキル:魅了 眷属召喚 物理魔法半減 状態異常無効
魔法:浮遊 サンダーボルト ファイヤーストーム ウィンドブラスト アイススピア ダークレイン
うーん。
こっちはあんまりって感じかな?
魔法も増えてないし、なんていうか強くなってる実感がないかも。
どうしよう。
魔法を撃っちゃう?
うーむ。撃っちゃおっと! いけ! 私の『ファイヤーストーム!』
うひゃー。
凄っ。
なにこれ、もう炎の壁じゃん!
こんなの誰もわたしに近づけないよ!
い、いや、慢心しちゃダメだ。
あのスケルトンなら絶対に無傷で通過してくる……。
と、とりあえず不安に思っても仕方ない!
他の魔法も試してからモンスターと戦おう!
それから私は数々の魔法を撃ち、威力を確かめた後にスケルトンが進んだ道ーーではなく、元来た道を戻っていった。
おっ、ここは蜂に追いかけられてたせいで見逃した道だ!
進んでみよーっと!
今の私にとって、スケルトンと同じ道を進むのは即ち死を意味する。
今回は運良く生き延びれただけの話であって、次がそうなるとは限らない。
正直死が近づいて来るという感覚は何度も経験してるけど、慣れるなんてことは出来ない。
だからこそ、私は元来た道を戻っているのだ。
恐らくスケルトンにとってスライム形態になっていた私は道端の石ころ程度にしか思えなかったからこそ殺さなかったのだろう。
そう思う。
いや、そう思いたい。
そうじゃなきゃどうして殺さなかったのか説明もつかない。
ただ、私が更に強くなった場合や、わざわざ追いかけた場合は別だ。
本気で敵と認識されれば間違いなく死ぬ。今の状態じゃ一矢報いることなく死ぬことは明らかだ。
しかし、頼れるのは自分だけ。
スライム形態じゃ相変わらず弱いままだからどうしようもないかもだけど、私にはまだ成長限界がある。
最大まで鍛え上げて、新たなスキルを入手すればもしかしたら勝てるかもしれない。
正直今私が居る場所で鍛えれるかは分からない。
でも、やるしかない。
私がこうして知らない道を突き進んでいるのも強くなるという確固たる意思に基づいてだ。
もし、この先にスケルトンと同じモンスターや、それと同程度のモンスターが存在すると考えたら無理やり進ませている足も止まりそうになる。
けど、止めちゃダメだ。
恐怖で足が震えても、私は止まらない。
そうして、私は進み続けた。
スライム形態で隠れたり、悪魔の姿で飛んだりと、勝てそうなモンスターだけを探し、各個撃破をしていった。
幸いにも、スケルトン並みに強いモンスターは存在せず、悪魔状態でも苦戦はするものの一対一ならば致命傷を負うことなく勝利することが出来た。
結果として、勝利して捕食はしているが、圧倒的に効率は悪く、未だ成長限界に達する気はしない。
戦い方もある程度決まってはいるものの、相手の行動が読めない事には攻撃を仕掛けるのも難しいし、どちらにせよこのままではスケルトンに勝つのは不可能だ。
ぐぬぬ。
思い出せ私。
スケルトンの戦い方を、あいつに勝つ為の動きを覚えるんだ。
モンスターを倒した後に、捕食しながらイメージトレーニングや実際に存在すると仮定しての動きも覚える。
しかし、例えそれでも私が勝てる未来は見えない。
はぁ。
イメージトレーニングでも勝てそうにないっていうのはなぁ。
やっぱり私の心が既に荒れてるのかな?
うーん。
ダメだ。考えすぎると余計にダメ!
よし、寝よう! 普通に道の真ん中だけど、スライム状態で天井に張り付いて寝れば大丈夫なはず!
まだまだ危険察知とかは出来ないけど、襲われないことを祈るしかない!
願わくば誰にも見つかりませんように!




