59話 『私の同種?』
はぁ。
心の中で叫んだところで友達が出来るわけないし、そもそも話せるようになるわけない。
あ、でも変身スキルとか変態スキル極めればもしかしたら人間になれたらするんじゃない?
ってか、人間なら何人か見たことあるし、今変身すればもしかして!
……。
…………。
んー。
失敗かな!
絶対にこれ失敗してるよ!
鏡もないし水もないから反射とかで顔見れないけど、確実に分かる!
なんか固定するの難しいからぐにゃぐにゃになっちゃってるし、そう、これはまるでアレだよ!
絵の具で描いた絵だよ!
うわー。
なんかショックだー。
こんなんじゃ冒険者とかに出会っても明らかに疑われるどころか襲われるだろうからもう無理だ!
よし! とりあえず人間は諦めよう!
ひとまず私の今の段階ではこの顔が限度なんだよ!
うんうん。
大丈夫。私ならきっといつか完璧な人間に変身出来るさ!
ま、でもとりあえず人間の形態になっちゃうとすぐ変身が溶けそうになるからそこだけは練習しとかないと!
よーし、なんか目標が出来たみたいで頑張れそうだし、この先もどんどん進んでいくぞー!
目指せ! 人間の国!
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うーん?
なんかさっきから進んではいるんだけど、モンスターがいないなぁ。
まだお腹の状態的には大丈夫だけど、そろそろ食べ物が恋しいぞ。
人形を食べたというか溶かしたばっかだからここ最近はちゃんと味のある物を食べてないし、そろそろなぁ。美味しいの食べたいなぁ。
はぁ。
ってか、なんでこの場所はモンスターがいないんだろ……。
見渡した限りだと黒い塊みたいのが所々にあるだけだし、もしかしてこの黒いのが原因なのかな?
不用意に近づいてなにか起きるのが嫌だから無視してたけど、ちゃんと見てみよっと!
ふーむ。
ふむふむ。
あっ!
この黒いやつの中にモンスターいるじゃん!
原型を留めてないからよく分かんないけど、やっぱりこの黒いやつがモンスターを取り込んでたんだ!
うん。
間違いないね。他の黒い塊にもモンスターが所々にいるし、私がご飯を食べれないのはこいつらの所為って事だね。
……ん?
今なにか音が聞こえたような。
微かな音だけど、多分トラップを踏んだ音かな?
確証はないけど、生きてるモンスターが居るなら好都合!
音的にはさほど離れてないし、早速レッツゴー!
あー、うん。
確かにモンスターが居るね。
しかも私の考えていた通り、トラップを全力で踏み抜いていってるよ。
ただなぁ、結果的に私が道中で見た黒いやつの正体も分かったから良いとしても、私の目の前で優雅にトラップの矢を受けているスライムは食べられないよ……。




