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5話 壁に張り付く私はさながら忍者です。

 腹は満たされ、ズリズリと這っていくのにもだいぶ慣れてきた。

 既に蛇の骨も溶かして、私の体の色は依然変わらず水色。ちょっとさっきまでは紫っぽかったけど、元通りになってホントに安心。

 さてさて、こんなに悠長に考え事してるっぽいけど、実際今の状況って結構やばいんだよね。

 なにせ、私の耳には誰かが歩いている音が聞こえているのだ。

 あー、スライムに耳はないはずなのにどうして感覚的には耳から聞こえてるって思っちゃうんだろ。人間から転生したからなのかな?


 ……ごほん。まぁスライムに耳の感覚があるとかはこの際今はどうでも良いとして、この状況をどうするか考えないとだよね。

 幸いにも、私には変身スキルがあるから逃げようと思えば逃げれそうなんだけど、それよりも物音を立てずにひっそりとしてるか、頑張って天井に張り付いてみるとかのが良いのかな? とか考えちゃう。


 んー。今回は天井に張り付こうかな、変身で逃げるとなると追い掛ける可能性あるし、私にはまだ巣というものがないから明確に逃げる場所というのがないからね。

 それに、追い掛けるのは恐怖が私を襲ってくるので正直言って良い気持ちにはなれないし……。


 その点、天井に張り付くのは楽しそう。忍者みたいだし、バレる危険性はあんまりないと思う。まぁバレたらそこで終了なんだけどね。


 さて、ちょっと楽しくなってる気持ちを抑えながら壁をズリズリと這い上がり、天井まで辿り着いたらそこで待つ。

 最近の私はスライムに順応したのか、粘液を出さない歩き方や壁に少しの間張り付くという技術を手に入れてるからこんな事を出来るのさ。

 ま、自慢にもならないけどね。


 って、あ、うーん。やばいかも?

 あー、こっち見るなよ。

 見ちゃダメだ。よし、そうだ。後ろには誰もいないぞ。ほら、前を向いて歩け。よし、それで良い。そこを曲がって、待て待て待て。大丈夫。そこの分かれ道を曲がって大丈夫だ。


 ……ふぅ。これで私の危機は去ったね。危なかった。4人パーティーっぽかったけど、皆緊張してるのか警戒してるのか、殆ど無言だったんだよね。本当は天井に張り付いて少しでも人間世界の情報を得たかったんだけど、殆ど無言じゃ仕方ない。

 でもまぁ、一つだけ有益な情報はある。どうやら私の居る世界はこの世界で最も広く深い迷宮らしいんだ。


 ……はぁぁぁ。深いため息も出ちゃうわこれ。なにが最大の迷宮だから気を付けようだよ。ふざけんな! こちとらその情報すら初めて知ったんだぞ! ってかここは今その迷宮などの辺りなんだよ! 教えろ!!


 よし、ストレス発散終わり! さてさて、とりあえず落ち着こう。最悪な情報だけど、有益だからまぁ良い。問題があるとすれば、ここがどれくらい深い場所なのかだ。

 正直、今私はこの迷宮から出るつもりはない。なにせ、私はスライムだ。人間と出会えば殺されるし、外の世界のモンスターの強さも分からない。

 私が強くなったら外に出たいと思うかもしれないが、今はとにかく自由に過ごせる場所を見つけたい。


 だからこそ、私は恐らく弱いモンスターが居そうな、迷宮の中でも上の階層に行きたいのだ。


 あれ? ちょっと待てよ? 考えてみればおかしいな。

 私って最弱のスライムなんだよね。うん、そこは間違ってない。最弱なスライムが居る迷宮の階層ってさ、絶対一番上の階層だよね? もしくは全然深くない階層な訳だ。

 それに、私が勝てるモンスターも多そうだし、迷宮を見て回った時に思ったけど、モンスターの数もそんなに多くない。


 もしや、私が一番過ごしやすい階層ってこのままこの階層なんじゃないか!?


 いやいや、でもこの階層は考えようによっては人間が多く来る階層だ。逆に下に行って隠れて過ごせばなんとかなるんじゃないかな?

 人間の方が出会った時怖いし、ここは下の階層を目指すのが今の私には一番良さそうだね。


 そうと決まれば早速出発だ! あ、でも、途中で良い隠れ場所を見つけたらそこに住むかもしれないけど……。

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