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器用貧乏なスライムは異世界で自由奔放に生きていく?  作者: ねぎとろ


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58話 『一人って少しだけ虚しいかな……』

 ファイヤボールが直撃し、見事に吹き飛んだ人形は炎を纏いながらもまだ生きていた。

 腕は吹き飛び、体は焦げているにも関わらず、残った足を使って懸命に立ち上がり私を見ている。


 うーん。こんなに弱々しくなっちゃうと一思いに殺しちゃってあげたいけど、不用意に近付いて最後の力で反撃されたりしたら嫌だしなぁ。

 ま、でも見逃すことは出来ないけどね。

 モンスター同士の戦いなんて生きるか死ぬかの戦いだし、相手が全力で逃げようとも私は見逃さない。

 人形だろうとスライムで溶かしてしまえばご飯であることに変わりはないし。


 お?

 おお?

 やっぱり人形も逃げるって選択はしないよね。


 それなら私も全力で相手になるよ!


 残った足を使って逃げるでもなく私目掛けて一直線に走ってくる人形。

 でも、腕で保っていた重心がブレブレでフラフラしており、今にも倒れそうだった。

 けれど、それでも尚進むその意思はひとえに私を殺す為だろう。

 モンスターにとって、自分にとっての脅威を消すためだ。

 恐らく既に人形には逃げる道はない。

 多分私が同じ状況でも逃げる選択をしない。

 理由は明白。今でいう私がまだピンピンしていて、力の底が未知数だからだ。

 逃げれば簡単に殺される。それを阻止するには決死で戦うしかない。


 でも、そう分かっていても私は私の為に人形を壊す。

 今まで人形が戦ったモンスターと違って私という存在は強さという点においても相手が悪かった。

 そう思ってもらえると祈りつつ、私は走ってくる人形へと風魔法を放ち、バラバラに斬り刻んだ。


 ふぅ……。勝った……。

 勝ったよ私! あんなにやばそうなモンスターにも勝てた!

 ……でも疲れたなぁ。

 それに、正直私にとってそんなに強いとは言えない敵だったけど、柔らかいモンスターだったり、もし顔面に直撃とか、突き刺されたりしたらどうなってたか分からない。

 そう考えれば、偶然人形の剣がなまくらだった事にも感謝だ。

 ま、とにかく私の勝ちは勝ちだけど、この先はもっと警戒していく必要がある。

 敵は明らかに強いし、二体以上だと蟹さんみたいになりかねない。

 警戒心を最大レベルに上げつつ、今使った体力を回復する為に今はひとまずスライムに戻って再生スキルを活用していこう。


 あー。

 うー。

 スライムの体ってやっぱり楽だー。

 悪魔の時は強いからそれはそれで楽しいけど、私がそもそもとしてスライムであるからこそこの姿が落ち着く。


 しかしホントに良くよく考えてみれば私の変態で変化できる悪魔さんは相当強いよね。

 近接戦はともかくとして、魔法の腕は相当だし、眷属やらのスキルも使えるから安定感が凄い。

 更に相手の攻撃も大抵半減出来る。


 あれ?

 強くない?

 イヤイヤ。

 確かに強いけど蟹さんにも負けかけたし、調子に乗っちゃいけない。

 うんうん。この先にももっと強いモンスターが居る可能性が高いしね!

 それに悪魔の体も強いけど、スライムの体も何気に万能ってのを忘れないようにしないと!

 今の階層で変身が通用するか分からないけど、出来ることは沢山あるし、奇襲で顔面とかに飛び降りれば窒息死させれるからね!

 なによりも悪魔さんよりも強い耐久性! これがスライムの一番の強み!


 いやー、自分で自分を褒めるのって凄い楽しいなー!

 ま、話せる人とかが居ないから自分を褒めて元気を出してるだけだけどね!

 はっはっは。

 ……悲しいなぁ。


 あーあ、話せる人とかモンスター居ないかなー。

 私が話せないけど誰かと仲良くなりたいよー!

 もう意思疎通とかで良いから誰かー! 私と友達に!

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