51話 怒り
冒険者達から繰り出される魔法をなんとか避ける。
幸い浮遊の魔法は封じられてないから空中に行けばなんとか避けられるけど、それでも時間の問題だし、他にも狼さんが狙われたら飛んでいる私は守りきるころは出来ない。
うーん。どうしようかなこれ。
逃げるっていう手もあるけど、完璧に逃げ切れるとは思えないし、そもそも簡単に逃がしてくれるとも思えない。
ん?
あれれ? 私の狼さんはどこに行ったの?
あー!
こっそり移動して魔法を封じてるやつの後ろに居るじゃん!
凄い! 私に注意が向いてるうちに気付かれずに移動するなんて、さすが私が魅了した狼さんだよ!
いけ! やっちまえ!
そいつさえ倒しちゃえば後は私に任せてくれれば良いから!
ガルルルッ! ガァァッ!
「きゃっ!」
「大丈夫か! くそっ、真っ先に聖女様から狙うとは卑劣な悪魔め!」
よしよし。なんか私のことを罵倒しているけど、そんなのは気にしない。
だって私悪魔だし、モンスターだもん。
卑怯だろうが勝てればそれで良し!
「痛い! 痛いよ、助けて!」
「離れやがれこの野郎!」
「二人とも! そっちに注意を向けちゃったら!」
そう。
その通りだよ。でももう遅い。
狼さんのおかげで魔法を防がれる心配はないし、至近距離まで近づいて魔法を放てばーーー。
「きゃあぁぁぁぁ!」
「レア! 大丈夫か!?」
よしよし。これで一人目撃破!
狼さんのお陰とはいえ、ここからなら充分私一人でも戦えそう。
というわけで、そろそろ狼さんには私の後ろに……。
「くっ、レアも心配だが、まずはお前からだ! 死にやがれ!」
男の持つ剣が振るわれ、私の目の前で狼さんは首と胴体を二つにして地に伏した。
狼さんは確実に死に、そしてそれは私が守れなかったことを意味する。
短い付き合いだけど、出来たら一生一緒に居たかったのに、この冒険者達は仲間を救う為に躊躇なく殺した。
いや、それはきっと正しい。
だけど、私には怒りしか湧かない。守りきれなかった自分自身への怒りと、殺した冒険者達への怒り。
ただそれだけが私の脳内を支配し、私は狂った獣のように理性を捨てた。
「ーーー、ーーー!」
あれ?
おかしいな。どういう事?
なんで私が目を覚ましたら戦闘終わってるの?
んー、まぁ良し!
戦いが終わってるならそれはそれで問題ないでしょ!
いやー、最初は人間を殺せるか不安だったけど、この分なら大丈夫そうだね。
とはいえ、あの冒険者達の魔法が何回か掠った程度で体力は結構減ってるし、次からはもっと考えて動かないとダメかもしれない。
まずいな。
『魅了スキルが使用制限に達しました。以降魅了スキルは使えません』
ここに来て久しぶりに聞いた機械音声。
それも、まさかの魅了スキルに関してだ。
どうやら私の持つ魅了スキルはたった一度しか使えないスキルだったらしい。
まぁ相当強いスキルだし、それくらいの制限があっても仕方ない。
でも、どうして今このアナウンスがあったんだろう。
だって、私の狼さんって生きてるよね?
おーい!
戦闘終わったし出ておいで〜。
んー、おかしいなぁ。
おっ、いたいた。尻尾が丸見えだよ。
……あっ、そっか。
そうだったね。ごめんね。私現実逃避しちゃってたよ。
ありがとね。私の為に命を使ってくれて。
あはは。守るって言ったのに、逆に私が守られちゃったね。
短い付き合いだったけど、一緒に迷宮探索をして楽しかったよ。
もし、もしもいつかまた出会えたら今度こそは絶対に守ってみせるから!
ありがとう。またね。
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