42話 陸なら負けないよ!
いざ尋常に勝負! とは言いましたけど、変態する時間はください。
いや、お願いします。くれなきゃホントにどうにもならないから!
もう尻尾っていうよりも歩く衝撃だけで死んじゃうよ私!
だからお願い! 噛みつこうとしないで! まだ私は変態中だよ!
ひぃぃぃぃ! 近い近い!
間に合って、間に合って!
間にあってぇぇぇ!!
……ふぅ。
なんとか間に合った。歯が私に当たったときはどうなるかと思ったけど、なんとか口を閉じられる前に逃げれたね。
幸いあいつにもカメレオンの擬態は通じてるようだし、あいつ自体大きいせいか動きがとろいから私の動きについてこれてない。
ふはははっ!
これは勝った! これなら勝てる見込みはあるよ!
ってあれぇぇぇぇ!?
首長竜さん! ちょっと暴れないでくださいよ!
あなたの巨体で暴れられたらもうこっちはどうしようもないんです!
幾らデカくて動きが遅くても、ほら! 尻尾とかで岩とか粉砕されちゃってるから!
私に当たったらどうすんのさ!
死ぬに決まってるじゃん!
はぁ。こんなの擬態とかあんまり意味がないよ。
いやまぁ意味はあるんだけど、なんていうの、逆にこっちからも攻撃できなくなっちゃった感じなんだよね。
ーーー!?
危なっ!
危うく水の中に落とされる所だった!
まさか尻尾に少し掠っただけで吹き飛ばされるなんて!
ってか、私のHP大丈夫かな?
物理耐性あるし、そもそも痛くなかったから大丈夫か!
うん、きっと大丈夫!
それよりも、恐らくこいつは私を水の中に落とそうと考えてる筈。
首長竜にとって水の中こそが本来の力を発揮できる戦場だろうし、地上じゃ動きが遅い事は首長竜自体も理解していると思う。
だがしかし!
私は落ちないぞ!
意地でも地上に居てやるからな!
凄いずるい倒し方だけど攻略方法は思い付いたし、ここから反撃させてもらうよ!
いけ! 私の毒の泡!
ふっふっふ。
首長竜の巨体のお陰で狙わなくてもどんどん当たるし、トカゲさんの時と違って毒の泡は十数発吐けるから問題なし!
後は、限界まで毒の泡を吐いて首長竜が毒になることを祈るだけ。
……。
………。
えっと、いつ毒になるんだろ。
体に当ててるだけだから毒になりづらいってのは分かるけど、そろそろ毒ってくれないと困る。
私の喉も限界を迎えそうだし、この最後の一発で毒にならないとキツイ。
おっと、これは運が良い!
偶然だろうけど私を狙って噛みつこうとしてくれたお陰でなんとか目に毒の泡が直撃したぞ!
しかもそのお陰で蓄積されて毒も相まって苦しそうにしてるし、ようやく毒に侵されてくれたみたい。
むむっ。
逃げようとしてるな。
逃さないよ!
毒の力で暴れまわることすら出来ない首長竜なんて怖くない!
尻尾と痺れ舌で動きを止めつつ攻撃してくだけ!
いやー、舌で巻きついててもどんどん引っ張られていくけど、尻尾で頭を強打しまくってるから首長竜もだいぶ辛そう。
むっ。
急に暴れ出したけど、最後の抵抗かな?
振り落とされないように注意しながら、尻尾で頭をズドーン!
やった!
骨が砕けるような音がしたし、首長竜も動きを完全に止めて倒れたからこれは勝ったでしょ!
よーし、大きすぎて食べ切れるか分かんないけど、ご飯のお時間にするぞー!




