38話 テストのお時間です!
ふーんふーんふふーん。
いやー、こうも鍾乳洞が綺麗だと歩くのが楽しいかも!
日本にいた時は運動とか嫌いな方だったし、今でも好きか嫌いかで言えば嫌いなわけなんだけれども、未知の世界を旅してるっていうのがきっと私の心を弾ませてくれてるんだと思う。
それに、トカゲさんよりも強いカメレオンさんに今は変態しているのだから、なんていうか強さもあって隠れる事もできるから心に余裕も持てる。
ただ、問題としては幾ら私が少し強くなった所で、この階層のモンスターの強さと同等ではないという事。
そもそもとして、私が何階層分落ちたのかすら分からない。
というわけで、今の私は普通に考えれば無謀なことをしているわけなのです。
なんてたって鼻歌を歌いながら、いや、正確には心の中で口ずさみながら歩いているのだから。
ガルルルルッ!
ん?
むむむ?
こっちを見ながら威嚇してるのは、だいぶ前に見た事のある狼型のモンスター?
でもまだ距離があるから正確には分からないし、っていうかこの階層にそんな弱い階層のモンスターがいる訳ないよね!
んー、という事は熊さんとかみたいに、この階層の狼さんはきっとめちゃくちゃ強化されてるんだろうなぁ。
嫌だなぁ。戦いたくない。
でも、ここで戦わないと強さとか分からないままだし……。
はぁ……頑張るか……。
よしっ!
カメレオンの性能テストと考えて、いっちょやってやるとしますか!
さてさて、ひとまず狼さんは私とまだ距離があるし、ここは一つ擬態を使って奇襲を仕掛けてみるとしますか。
そーっと、そーっと近付いてと。
くっくっく。
狼さんはまだこっちに気付いてないぞ。
さぁて、物は試しだ。
私の舌がどれだけ有効か試してやる。
ガルッ!?
やったー!
成功した!
さすが私! いや、私の舌!
狼さんも私の舌に巻き付かれて痺れちゃって動けてないし、あとはもう簡単なお仕事だよ!
ふっふっふ。
動けない敵なら実験し放題だ。
あはは。なんてね。
さすがの私もそんな鬼畜な事はしないよ。
狼さんが痺れてる時間もわからないし、ここは毒の泡で仕留めるとしますかな!
おっ、私の吐いた毒の泡が見事に狼さんの口の中に吸い込まれていった。
うーん。
さすがに毒なだけあってモンスターの体内に吸い込まれていったんだったら効果ありそうだけど、まぁさすがにそんなにすぐに毒になるわけないか。
それにしても毒の泡を吐く為に巻き付いていた舌を離したわけなんだけど、未だに痺れてるのよねこいつ。
私の舌ってそんなに強力なのかな?
いや、たまたまこの狼さんが痺れ耐性ないだけな気がする。
うーむ。
はっ!
そんな事を考えるよりもとりあえず舌で巻きつけておかないと!
痺れが解けたら負けちゃうかもしれないし!
おっ、毒が効いてきたのか分かんないけど狼さんが苦しみはじめたみたい。
うーん、でもイマイチだなぁ。
今回は体内に毒を摂取させたから数十秒程度で毒になった訳だし、普通に毒を接触させただけだともしかしたら数分単位掛かる可能性もある。
それに、摂取ではなく付着だと逃げられて洗い流されたりしたら終わりな訳だし、私の舌で痺れない敵とかだと毒はあんまり効果的じゃないかも。
まぁひとまずは狼さん相手には毒を連発して付着やら摂取させればそれなりに早く毒にさせる事は出来そうだし、実験台として色々知れたから良かったかな。
さーてと、さすがに動けないまま苦しめるのはなんとなく罪悪感があるし、一思いに殺してあげますか。
よいしょっと。
それじゃ、首を目掛けて尻尾をドーン!
わぁ。
フルスイングのお陰で綺麗に首が飛んでった!
こりゃ私の尻尾は優秀だね!
ふふっ。
これで私もこの階層で少しは戦えることが分かったし、久しぶりのご飯といきますか!




