34話 選択肢なんて私にはありませんでした!
さてさてさて、どうしたものだろうか。
目の前に広がるは断崖絶壁。
後ろに広がるのはモンスターの群れ。
うん!
終わった!
私の人生終了です!
……って、諦めてたまるかぁ!
まだ私は死なないよ!
死んで元の世界に戻るのも嫌だし、普通に死ぬのも嫌だ!
だから私は抵抗するよ!
例え体が傷だらけであろうと、動くと激痛が走ろうとも私は戦うよ!
だって戦わなかったら崖に落ちて死ぬんだろうし、戦って負けて死ぬのならまだ仕方ないと割り切れるからね!
さーて、喉も未だ焼けたように熱いけど、そんなのは無視して炎のブレス!
ぐぬぬぬ……痛い……熱い……。
死ぬぅぅぅぅう。
自分の攻撃で死ぬよこれ!
はぁはぁはぁ。
ちょっとこれはやばいかも。
私のブレスが効いてないモンスターが結構いるね……。
特に巨大なカメレオンみたいなモンスターと、上の階層で戦った熊さんをめちゃくちゃ凶悪な姿かつ、巨大化させたようなモンスターはやばい。
私の渾身のブレスが効いてないどころじゃない。ホントに傷一つないし、無傷に程近い。
なんていうか、こうして見るとこの二体のモンスターは私が全速力で逃げた鬼さんとオーラみたいなのが似ている気がする。
絶対に勝てない敵。
それがこの二体だと思う。
ガァァァァァ!
うわっ!
ちょ、ちょっと!
なになになに!?
急にどうして体が赤く光出してんの!?
怒りモードですか!
そうなんですね!
すいません、すいません、ごめんなさい!
……ってあれ?
私に向かってきてない?
えーっと、赤く光った熊さんはカメレオンと戦ってる?
うーん。
獲物の取り合いかなぁ?
偶然だろうけど、でもこれは運が良いね。
カメレオンと赤熊さんが戦ってるお陰で他のモンスターは巻き込まれないように逃げてくれたし、私もこっそり逃げれば解決!
よーし、そうと決まれば……はっ!
私の逃げ道ないじゃん!
あんな戦ってるところに入ったら絶対に死ぬし、後ろは相変わらず断崖絶壁だよ!
あーこうなったら二体が戦い終わるまで出来るだけ回復に専念しつつ存在感を消すしかない。
ふぃー。
いやー、どうもどうも。
赤熊さんとカメレオンはどうにも戦いに夢中なようで私に気付いておりませんなぁ。
うんうん。
こうしてスライム姿で隠れながらゆっくり観戦するのは良いってもんだ。
さーてと、回復しながら二体のモンスターの戦いをじっくり見ていこうかな!
もしどっちかのモンスターを捕食出来て、変態出来るのならどんな攻撃が出来るのか知っときたいしね!
ふむふむ。
ふーむ。
ほぉ。
これはこれは、私なら一撃で死にますねぇ。
おっ、カメレオンは毒の泡みたいなの吐けるのか!
しかも赤熊さんにも毒は効いてるみたいだし、段々赤みがなくなってるよ!
あー、でもやっぱり腕力とか爪での攻撃とかで赤熊さんのがだいぶ強いかな。
カメレオンの毒でじわじわダメージは与えられてるんだろうけど、既にカメレオンの長い舌は千切られてるし、体中もボロボロだね。
それに、恐らくだけどカメレオンのモンスター自体がそもそも奇襲とかで戦うモンスターだろうから、こうやって正々堂々戦うと弱いんだと思う。
おっ、カメレオンは逃げるのかな?
まぁ瀕死になったら逃げるのが正解だよね。
……けど、赤熊さんは逃してくれる訳ないか。
ん?
ちょ、おい!
どうしてカメレオンは私の隠れてる方に来るの!?
折角真っ平らになって隠れてたのに!
えっ?
はっ?
あの熊さんは何をしようとしてるの?
どうして両腕を上に振り上げてるのかな?
あ。
これは死ぬ。
熊さんが両腕を叩きつけた所からは凄い音と共にどんどんひび割れていってるし、もう私もカメレオンも逃げられない。
くそー!
こんな力あるなんて聞いてないよ!
っていうかどっちみち落ちるなら最初から落ちることを選択すれば良かったー!




