31話 喋る緑色のやつ!
ふぃー。
なんとか生存出来たー!
相変わらずの真っ暗闇だし、なにやら見られてるような視線は感じるけど、襲われてないから問題はなし!
でもなんで襲ってこないのかな?
視線を感じてるのは私の勘違いで、実際にはここに居るモンスターも見えてないとか?
うーん。
でも明らかにスライムの姿でウロウロしてたら襲ってきてもおかしくないと思うんだよねぇ。
だって、スライムなんてもはやこの階層においては雑魚だよ雑魚。
相手のモンスターも負ける心配はしないでしょーよ。
ま、とにかく襲ってこない今がきっとチャンスなんだろうな。
もしかしたら上の階層から降りてきた私にビビっているのかもしれないし!
なにせ、あの鬼のようなモンスターから逃げ切ったスライムだからね。
ってかよく良く考えたらあんな鬼みたいなモンスターがあの階層に存在していいのかなぁ。
本能的にあのモンスターには勝てる気がしなかったし、なんなら追いかけられてる最中は常に死が私を襲ってた。
変態してトカゲになっても善戦はおろか、きっと普通に負けて死んでたと思う。
いやー、迷宮とか異世界だからなにが起こっても不思議ではないけど、あんなヤバイモンスターが普通に歩いてるっていう事実が凄い。
ホント、良く前の階層の生態系は崩れなかったなぁ。
おっ。
考え事してるうちになにやら目の前にゆらゆら揺れてる光が!
って、あれは光っていうよりも火じゃない!?
という事は、この暗闇を歩いてる存在が目の前に居るって事だ!
松明を使ってる感じだし、さすがに人間かな?
まぁでも例え人間だろうが今の私はモンスターだし、襲われること間違いなしだね。
よし。
ここは変態スキルを使っておこう。
……。
…………ヤバイ。
ヤバイヤバイヤバイ!
失敗しちゃったぁぁぁあ!
そういえば変態スキルを使ったら光に包まれちゃうじゃん!
周囲に私はここですよーってバラしちゃったよ!
うわ、松明を持った存在がどんどん近付いてくる!
どうしよう。
逃げる?
いや、うーん。
でも戦うのは難しいよね。
暗闇だし、相手が人だろうがモンスターだろうが強さが分からないし。
ぐぬぬ。
覚悟を決めろ私!
戦うぞ!
グギャギャ!
エモノハッケン!
コロス! タベル!
ギヒャヒャヒャ!
はい。
これは終わりました。
いわゆるこいつらはゴブリンっていう存在だね。
恐らくこいつらもこの世界の言葉を拙いながらも喋ってるんだろうけど、私には相変わらず日本語として聞こえる。
きっと私自身はこの世界の言語を書いたりは出来ないんだろうけど、なにかしらの力が働いて日本語に翻訳して聞いたりは出来るんだと思う。
まぁそれは正直現状においてはどうでも良くて、とりあえず今は確実に私を獲物認定して殺意剥き出しの緑色の人間フォルムであるゴブリンをどうにかしないといけないみたい。




