2話 骨になるまで食べ尽くします
うーん。寝ないで頑張るのはいいとしても、私まだ生まれてからそんなに経ってないんだよねぇ。まぁ、時間なんて分かんないけどさ。
それに、何をすればいいか全然分かんないし。どうすればいいんだ? とりあえず、さっきと同じことしてみる? うーん。よし。使ってみよう!
えーっと、頭でまたあのキモいカマキリをイメージして、って、なんか嫌だわ。あいつイメージしたくな……おえっ!
はぁ。でも、しょうがないかぁ。耐えないと……生きていくには我慢しないとだね!
あう……姿変わったのかなぁ……?
あぁ、見たくないけど見るしか……うぅぅ。やっぱり出来てるぅぅぅ!! キモすぎる! 早くスキル解かなきゃ!
でも、待った。その前に、ちょっとこの姿の力を試してみなきゃ。スライムだと何も出来ないけど、こっちならなんとか……はい。無理でした。完全に予想外でしたよ。
まさか、地面を殴ったら粘着液が出るなんてね。驚きだよ。しかも、水色ってことは完全にスライムだし。
ん? ってことは、この体、見た目はカマキリで中身はスライムってこと? そんなことなら尚更キモイじゃん。
でもまぁ、ものは試しで体に腕を……はぁ。なんかそんな予感はしてましたよ……。
やっぱり、この体の中身はスライムなのね。そう考えると、カマキリ本体じゃなくてスライムが本体な訳だし。そう考えれば、普通にこの姿でもいける気がするなぁ。
でも、さっきなんで私走れたんだ? スライムと同じなら走れないはず……なん、だけど……
ーーあぁ、そういう事ね。私が歩くと足跡が出来ちゃうのね。ネバネバした粘着液の足跡が。
ん? でも、足に力入れて歩くと粘着液出ない? おっ、これはいい発見じゃない? これで私も普通に走れる訳だ。見た目はカマキリでめっちゃキモいけど。
ま、これで大体の実験は終わったかな。とりあえず、スライムに戻って、結論を考えよう。うん。考える意味もなかったわ。ほんとそのまんま。私の固有スキルは、多分、形を変えて、スライムのまま変身する能力だよね。''ステータス''とかないし、確認しようがないけどさ。
『ステータス認証中。完了。ステータスオープン可能です。次回からは、ステータスオープンと呟けば、自分のステータスは開かれます』
また謎のアナウンスがあった。私の意識そのものに話し掛けるような声。でも、これはこれで教えてくれてるから有難い。
ステータスオープン!
喋れない私は、とりあえず念じてみることにした。が、どうやら成功したようだ。
ステータス
名前:なし
種族:ブルースライム
HP:25
スキル:変身
ふぅ。これにて私の実験は終わったし、一眠りするかな。久々の睡眠だ。スライムの体で寝れるか分かんないけど、とりあえず目を瞑ろう。そうすれば自ずと……。
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はっ! 爆睡してしまった! んん、なんか体の中がくすぐったいような気がする。
なんだろ一体……うおっ! えっ? えっ、えっ? 何これ。どういう状況?
どうして、私の体に魔物が居るの!? なになに、勝手に入っちゃった的な? っていうかそれしかないよねぇ。くすぐったいし早く出てって欲しいんだけどなぁ。
あれ? というかこいつ、なんか溶けてきてない? 気のせいかな? いや、気のせいじゃねえわ。こいつ、私の体の中で溶けてやがる。ってことは、スライムの体の中は酸と一緒なのか。これは、良いことを知った。ありがとう。君の命で私はまた成長してしまったよ。
遂に私の体に骨が残ってしまった……でも、こいつを取り込んだお陰で私の胃袋はいっぱいになった気がする。
全然食べた気はしないけども。まぁ、これがスライムの普通の捕食というものなんだろう。元は人間なのにこんな貴重な体験をしてしまった。
さてと、そろそろ私も移動しないと。カマキリに形を変えて、いざ探索へ!