23話 私もついに……！！
なんだかんだ言って、トカゲを倒すのには一苦労した。
そもそもとして私がスライムだから取り込まないと捕食できないっていうのはあるんだけど、それにしたってトカゲは本気で抵抗してきた。
まぁそりゃ誰だって死にたくはないだろうし、抵抗はすると思うんだけど、こいつの抵抗は私にとっては本当に厄介。
まず近寄ろうとすれば炎を吐いてくるし、いざガス欠を起こしたと思って近づいてみれば手足をジタバタさせたり、噛みつこうとしてくる。
だから、私はもう暴れられるの覚悟で無理やり取り込んでやった。
危険極まりない行為だけど、結果的には成功して、トカゲは私の中で溶けていった。
ふぅ。
今回はめちゃくちゃ危なかった。
吐いてきた炎の威力も、力自体も強かったし、正直勝てた事にビックリしちゃうくらい。
まぁそれも、トカゲが無謀にも突進してひっくり返ってくれたから勝てたというだけの話だ。
私自身の実力はさして関係ない。
あの場面に遭遇すればきっと大抵のモンスターなら勝てる。幾ら、あのトカゲがこの階層で強かろうとも。
ま、そういうわけで正々堂々戦って勝てたからと言って私は自分が強いとか思っていない。
『ステータスが規定値に達した為、進化が可能です』
えっ！？
なになになに！？
怖い怖い。急に話しかけてこないでよ！
……ふぅ。久しぶりに脳内に機械音声が響いたし、めちゃくちゃビビったけど、良くよく考えれば変身スキルの時にもアドバイスしてくれた声だし、ビビる必要はなかったね。
良かった良かった。
えっと、それで確か進化とかなんとか言ってたよね？
もしかして私スライムじゃなくなったりするのかな？
確かにモンスターは進化とかありそうだけど、まさかこの世界でも進化なんてものがあるとは驚きだ。
とはいえ、これは喜んでいいと思う。
進化とはすなわち強くなれるという事だと思うし。
でも、全く違う姿になったりしないかな？
巨大スライムになったりしても実は困っちゃうんだよね……。
んー。ま、いっか。
色んなこと考えるよりも、とりあえず進化してみよっと！
えーっと、やり方とか分かんないけど、とりあえず目を瞑って進化するイメージでもすれば良いのかな？
…………あれ？
何も起きなくない？
えっ？
ホントにどうすれば良いの！？
『進化先を選択可能です』
コピースライム
スライムクイーン
へっ？
二種類から選べってことだよねこれ。
えっと、どうしよう。
進化先の詳細とか、説明が見れたら良いんだけど、やっぱりそれは無理そうだし、自分で考えるしかないかな？
そうと決まればまずはコピースライムからだね。
多分だけど、名前から察するに私が変身を多用してるからこの進化先があるんだと思う。
ってことは、変身に特化したり、新たなスキルを入手する確率が高そう。
ただ、単純な戦闘能力はあんまり向上しない気がする。
そして、スライムクイーンはまぁ単純に考えてスライムとして私が見た巨大スライムになるってことで大丈夫かな。
戦闘力は上がりそうだし、こっちのが良さそうだけど、スライムクイーン自体が実はそんなに強くなかったら困るんだよね。
んー。悩む。
スライムから一気にスライムクイーンに飛躍するのはスライムの進化が二段階しかないって事だと思うけど、コピースライムが更に進化出来るのか分かんないからなぁ。
ま、でもコピースライムに進化で良いかな！
どっちも最終進化だとして、巨大化するよりは小さい方がこの先も生きやすそうだしね！
よっしゃ！
それじゃ進化するぞ！
『コピースライムへの進化を開始します』
うおっ。
なんだこれ私の体が光ってる！
『コピースライムに進化しました。最終進化形態となる為、これ以上の進化はありません』
『スキル、変態を入手しました』
