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器用貧乏なスライムは異世界で自由奔放に生きていく?  作者: ねぎとろ


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115話 『旅立ち』

 魔王軍の連中が信じてくれたのをきっかけとし、私は踵を返して歩き始めた。

 その後ろを付いてくるように双子も歩きだし、魔王軍の連中は私に対して敬礼してから、また生き残りがいないか探し始めたようだった。


「ママすごい!」

「うん! あんなに沢山のモンスターが居たのにママは全然怖がってなかった!」

「あー、うん。ありがとね」


 キラキラした目で私を見つめながら、私をずっと褒めてくれる双子。

 けれど、私は決して褒められる事はしていない。

 そもそも、この双子の前でモンスターを殺している。それは子供に見せる光景じゃないはずだ。

 けど、まぁこの2人を保護し、守っている現時点においては私も少しは親らしくあるかもしれない。

 それが私にとって良いことなのか悪いことなのかは分からないけれど。


「あぁ、麒麟だ。悪に堕ちた麒麟が優雅に歩いてやがる」

「くそっ! 俺たちを利用して魔王軍に取り入りやがって」


 なに言ってんの?

 何度も何度も思うけどさ、私ってモンスターなわけよ。

 別に人間の味方してるつもりはないし、そういう言われ方をされる筋合いもないんだわ。

 ってか、アレコレ勝手に私のことを伝説扱いしてさ、私が襲ったら掌を返して私を責め立てるとか本当にムカつくんだけど。


「ママは悪者なんかじゃない!」

「ママの事を悪く言わないで!」


 危ない危ない。この双子が居なかったら私この人たちの事殺しちゃってたかも……。

 というか、この人達は双子に感謝するんだね。

 双子が居なかったら君たち今頃死んでるんだよ?

 なんとか双子が言い返してくれたから私の怒りも治まったから良いものの、私の沸点はだいぶ低いんだから。


 えっ?

 沸点低くて大丈夫なのかって?

 問題ないでしょ。

 私は確かに強いけど、そんな全開の力で怒りに身を任せて暴走はしない筈だし。


 兎にも角にも、ひとまず私を睨んだら、恨めしい視線を送ってくる連中は無視して、私達は元の場所に戻った。

 どいつもこいつも、私の後ろにいる双子を見ては少し警戒してくるけど、私を見て何故か納得したように頷いてくる。

 一体なにを納得してるのか分かんないけど、まぁもうどうでも良いや。


 実際敵対してこなければそれで良いし、唯一の問題は魔王軍のリーダーかな?

 こいつにだけは説明しなきゃならなそう。

 あー、めんどくさい。


「麒麟様、魔王様からのご連絡がありまして、その件についてお話ししたいのですが、その前にそちらの人間はどうされたのでしょうか?」


 やっぱり聞いてくるよねぇ。

 ひとまず最初から最後まで説明するしかないか。


「……ふむ。そうでしたか。既に麒麟様の保護下にあるというのならば我々から口出しする事はありません。敵対心もないようですし、問題ないでしょう」


 万が一にも、この双子がモンスター、或いは魔王軍に敵意や殺意を持っていたのなら話は変わっていたかもしれないが、現状双子にはそんな意思はない。

 まぁ仮に双子が復讐したいというのなら私は魔王か双子を天秤にかけて選ばなきゃならなかっただろうから、私にとってもこれは好都合だ。


「それで、魔王からの連絡は?」

「はい。その件ですが、魔王様は麒麟様とお会いしたいそうです。しかし、魔王様は魔王城から動かないとの事で、申し訳ないのですが麒麟様から魔王様の元へと向かっていただきたく思います」

「分かった。それじゃ魔王城の位置を教えて」

「かしこまりました。地図をお持ち致しますので少しお待ち下さい」


 ふぅ。とりあえず魔王とも会えるみたいだし、私の目的にも少しは近付いたかな。

 魔王様の素性も分かんないけど、頼むから優しい人であってくれ。

 私は平和に暮らしたいだけなんだから。


「お待たせ致しました。こちらが地図となっております。魔王城までの道のりは険しく辛い道となっておりますので、無事に辿り着ける事を祈っております」

「ありがとう。それじゃ魔王に会ってくる」

「行ってらっしゃいませ!」


 地図を双子へと持たせ、私たちは街を出るために歩き始めた。

 相変わらず魔王軍は私に対して敬礼をし、各々が「行ってらっしゃいませ」と伝えてきた。

 見送られるのは悪い気分ではないし、私もわざわざ言葉を返したりはしない。


 それに、もしかしたら私も魔王と会った後に魔王軍に入る事になるかもしれないのだから、こうして今の内から上下関係が出来ているのなら、それはそれでこれから先役に立つはずなのだから。

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