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プロローグ

この小説は息抜き程度に書いてありますので不定期更新となります。

ご了承くださいませ。


それと、タイトルは途中で急遽変更するかもしれませんが、そちらもご了承ください。

 ある夏の日。

 それは蒸し暑く、風もない日。

 家のエアコンは古いのが原因で壊れ、私は今途方に暮れていた。


「あっつい! 図書館でも行って涼まないと死ぬ!」


 叫びながら私は服を脱ぎ、久しぶりに出掛ける支度をする事にした。念のために時計を見て、今の時刻を確認し、学生がいない時間帯だと分かった私は安堵した。

 しかしまぁ、かくいう私もその学生の一人なのだが。

 私は県立の高校に通っていた学生だ。今は訳あってというか、行きたくないため不登校中。

 だけれど念には念を重ねて、カモフラージュのために制服に着替え、生徒手帳もしっかりと持っていく。


「ほんと、私の顔ってひどい」


 自分の生徒手帳を見ながらついつい呟いてしまう。

 生徒手帳には私の名前とご丁寧に私の顔写真が貼られている。しかし、鏡に映る私と、生徒手帳に貼ってある顔写真を見比べてもまるで別人だ。不登校で家から出ない日々を過ごした事によって、私の顔も変わってしまったのだろう。


「はぁ。私にもネット小説とかでよくある異世界転生とかないかなぁ……。ま、こんな事考えても仕方ないか!」


 願望を独り言のように呟き、余計に暗くなる気持ちを抑えて、私はこの暑さの中、いかにも暑そうな見た目の制服を着ながら外へと出た。

 そして案の定というかわかりきってはいたけれど、外は蒸し暑く、太陽はジリジリと私を焼くように輝いていた。

 最近ほとんど使っていなかった自転車に跨がり、私は急いで向かう。一刻も早くこの暑い状況から脱するために。

 ただ、私はきっとここで急ぐべきではなかった。


「あんた! 前! 前!」


 私の後ろにいた老人が私に対して叫んでいる。

 だけど、暑い中何も飲まずにいたせいか、私の耳にはほとんど聞こえていない。ただ、雑音のようなものが大きく響くだけだった。


「えっ? なんですか?」


 私が思わず聞き返した時だった。

 ぼーっとしていた私は気付けば赤信号を無視して飛び出しており、スピードを出して突っ切ろうとした車に衝突した。


「おいあんた! 大丈夫か! 」


「救急車だ! 早く! 血が止まらない!」


 意識が朦朧して、言葉も出ない。息を吸おうとしても、肺に肋骨が刺さったのか、痛みで難しい。


「……私の人生……ホント最悪……次はもっと自由に生きたいなぁ……」


 こんな時でも、一人の生徒としてなのか、それともたまたま近くにあっただけだからなのか、私は生徒手帳を握りしめていた。

 そして、生徒手帳が血によって見えなくなったその時、救急車のサイレンが聞こえ、それと同時に私の意識は真っ暗になった。


 ------------------


 痛ったぁぁぁぁぁ!


 車と衝突した痛みでついつい叫んでしまったけど、声が出た気はしない。というより、もしかして私生きてる感じ?


 いやいやいや、それはおかしい。普通になんか死んだ気がしたし、呼吸も出来なかったはずだ。

 あれ? でも今の私どうみても生きてるよね? 普通に考える事はできるし、ってかなんか痛みもよくよく考えればなくなってるし、あれから何日経ったんだ?


 ……うーん。とりあえずまぁいっか! 痛みもないし生きてるなら問題ないね。誰が助けてくれたのか分かんないけど、あのクソみたいな世界でも死ぬよりはマシなはずだし!


 にしても、なんかいつもの私じゃないみたいな感じするんだよね。手とか足とかそれに首も神経通ってないって感じだし。


 もしかして私寝たきり状態? 意識だけ覚醒してて体は動かないとかそんな感じかな?

 いやいやいやいや、まさかね。そんな事あったらホントに最悪だよ。


 ーーん? あれれ? おかしいぞ? もしも寝たきりだったら私病院にいるはずなんだけど。なんでグチャグチャとかいう音が聞こえてくるんだ?


 うーん。とりあえず変な音だし逃げたいんだけど……あっ! 私動くじゃん! ずっと動けないもんだと思ってたけど、すんごい遅いながらも動けてるっぽい! でもなんでだろ、私が動くたびにもグチャグチャ音がなってるような? 


 よし! こうなったら目も開けてみよう! 動けるんだし目も開くでしょ!


 3、2、1、はい!


 うわぁぁぁぁ! なにこれ! えっ!? ホントになにこれ!


 ここって日本なの!? 絶対違うじゃん! なんで私の目の前にウヨウヨしてるスライムが居るの!?

 しかも私と視線が同じだし、人間サイズってやばくないかこれ!

 よし分かった! これは夢だ! 夢の筈! だってほら、日本にこんなスライムなんて生物いるわけないし!


 ……そんな都合が良いわけないね。だって、私の視線よりもっとずっとデカイスライムが私の視界に映ってるし、なによりも夢の中で私がこんなに考えられる訳ないし。


 うーん。まぁとりあえず私の夢である異世界転生が叶ったと仮定すれば、目の前にいるスライムにも納得できるね。というか、既にこの状況に慣れてきて普通に楽しんでる自分が怖いよ。

 いや、まぁさあれだよ。一人の時って結構ハイテンションだったりするじゃん? 

 しかも、こんな妄想していたことが現実に起きちゃったりしたらもうテンションは振り切っちゃってるわけよ。だって、異世界にもし来てるんだとしたら、周りに私のこと知ってる人はいないし、自由じゃん!? 気を遣わなくて良いじゃん! 


 ただまぁ、薄々気付いてはいたけど、私が()()()()として異世界転生したってことだけは納得出来ないけどさ!

宜しければブックマークや評価、感想など気軽にくださると幸いです。

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