二人 人の星座
人間は難しい…
あの冬の日の夜。
二人星を眺めたあの日を私は忘れない。
冬の星座を座って眺めて、語って、一緒に帰ったあの日。
「人間関係と星空は似ている。」
あなたはそんなことを言っていた。
無数にいる人、数多の星。
それに誰かがつながりを持たせ、ストーリーを織りなす。
それを見守り、そして見えなくなるのと、次見えるのを探す。
それが星座、それが人間関係。
そして周りから見た私達の自由な空の中に居る
私とあなたはまるでちょっとした都市の空に映るこいぬ座だった。
あなたはプロキオン、私はゴメイザ。
二人だけの関係、二人だけの繋がり、二人だけの星座。
二人が居ないと成り立たないもの…
二人揃わないと単なる星としか見られないもの。
これは生まれる前の大昔から決まっている運命だと私は思っていた。
そしてその歴史は死ぬまで続くと思いつつけていた。
だって他の人が入ってこれない聖なる領域、切り裂けない繋がりだから。
美しく、夢で溢れたつながりだから。
ある日、
「別れよう。」
その言葉で星座がなくなった。
なんであんなに簡単に切り裂かれたのだろう。
あんなことを言ってくれてたのに。
私だって許してたのに。
私はあなたの為に…為に…
(無言)
嫌、嫌だ、嫌よ、嫌っ!
一人は嫌。
嫌われるのも嫌だ。
好きでいてくれないのも嫌よ。
何より自分が嫌っ!
聖なる領域、サンクチュアリに憎悪によってインフェルノが生まれた
恨んだ、憎んだ、苦しんだ…
「許さない…犯した罪の罰受けるといいわ、いや…」
一人で泣いていたのに不意に笑顔が溢れる
そうか、そう言う事ね…
これはあの人の思い、願いなのかも…
そう思った私を引き止めるものは…存在しない。
あなたの顔が映る。
さぁ…真っ赤な華を散りばめて、
うるさい程の歌声に、
何度も打ち鳴らされる鐘の音、
真っ白な硬い床にある
あなたが作る紅の絨毯を、
私は一歩一歩踏み締めて、
ゆっくり、でも確実に近づいて、
あなたの各所に口付けをする。
甘噛みして、口づけして…
あなたは快楽で動けなくなった。
金属、水、土、草。様々な匂いが混じっている。
最後は私とあなたの超新星爆発の花火で終わりましょう。
私と一緒にあがりましょう?
神が天へと上げてくれる。
本当に星へと変わってく。
最後はあなたの手を借りて、
真っ赤な星を生みましょう。
または真っ黒な虚無の星。
あなたに会えて本当によかった。
ピッピッピッ…
電子音が聞こえる
「ああ、私は星にはなれなかったのね。」
あなたはどうやら星になった。
不意に涙がぼろぼろとこぼれた。
涙が止まりかけ、視界がぼやけているときに。
私は知ってしまった。
「ああ、だから私はゴメイザ(涙ぐんでいるもの)だったのね…」
いくら愛して、気を許してても道は間違ってはいけない…