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第四十二話 『廊下は出会いの場所なんだよ!』

 ふふふ~ん♪


今日は珍しく梓が早めに起きてくれた。おかげで気分も上がり、周りに人がいないのをいいことに、ざますウイルスから解放された俺は鼻唄混じりで廊下を歩いている。


 角を曲がると、女子生徒が俺の方に向かって歩いてくるのが見えた。名札には学年カラーである緑のシール。俺や梓と同じ学年の子だろう。


  見たことはないけど、かわいらしい子だった。茶髪に染めたロングヘアの毛先を緩くカールさせ、メイクはナチュラルだが元の目鼻立ちがはっきりしているせいか、それだけで十分に魅力的だ。


 すれ違う三歩ほど手前。その子がシャープペンシルを筆箱から落とす。


 あっという顔をする女の子。


  キャッチしてあげようと、空中に手を伸ばす俺。が、それは叶わなかった。


 「危ない!」


  「へ?」


 認識する間もなく、俺の肩を猛烈な衝撃が襲う。蹴られたサッカーボールのような勢いで、体をくの字に曲げて俺は吹き飛ばされた。


 「っがはっ」


 そのまま壁に叩きつけられる。肺から空気が無理やり吐き出された。なんだ、なんだ?  背中と肩が痛むのをこらえながら、前を見る。先程までいた場所で、女の子が手を前に突きだしていた。


 え! 俺あの子に突飛ばされたの?


 どんな力してるんだよ! 危ないってなんだよ。この子の方が危ないじゃん!


 だが、それを上回る衝撃的な光景が俺の視界に飛び込んできた。


 シャープペンシルが廊下に垂直に突き刺さっている。


 ここの廊下って、固まる前のセメントかなんかだっけ? そんなはずがないのは俺がよく知っていた。


 戸惑う俺は女の子の表情を見て、息をのむ。


 女の子の目は涙の膜が張られていた。


 「またやっちゃった……」


 女の子は唇を噛み締める。ええ……どっちかっていうと泣きたいのはこっちなんですけど……


 だが女の子が泣きそうになっているのに、ほったらかしておく訳にもいかない。


 「君大丈夫?」


 「う、うえぇぇ。ごめんなさーい」


 女の子はそれだけいうと、走り去っていく。去り際、廊下に突き刺さるシャープペンシルを引き抜く。


 すげぇ、かっけえ


 エクスカリバーみたいに引き抜きやがった!


 「どうしたの?」


 気づくと、いつの間にか横に立っていた梓が不思議そうな顔で俺を覗きこんでいた。


 「いや、今女の子に突き飛ばされてって痛」

 

 不意に触れた肩に痛みが走る。どうやら俺の肩はさっきの衝撃で脱臼してしまったらしい。


「大丈夫? 脱臼ならうちの学年に脱臼治療のプロがいるから、その人の所に行こう!」


 俺は痛む肩を押さえながら、梓についていった。

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