第四十一話 『今ならこれも付いてきます!』
「それでオプションというのは、どのようなものざますか?」
夏樹は固唾を飲んで、担当の口が開くのを待つ。頑張れ、担当! 返答次第では商品化が無しになるかもしれないぞ!
「一つ目のオプションはこちらざます」
そう言って取り出したのは、ぬいぐるみのクマの頭部。ああ、これは着せ替え人形的なやつだな。シャンくんの頭の上からかぶせて使うのかな?
そんな予測を立てる俺に担当の人はいたずら小僧のように微笑むと、シャンくんの頭部に手をのせ
——一気に百八十度回した。カポッというこぎみ良い音を立てて、シャンくんの首が外れる。突然デュランハンになってしまったシャンくんに、用意されていたクマの頭部がはめ込まれた。
「このようにして二通りのパターンが楽しめるざます」
担当の人はどうですか! と言わんばかりに、ドヤ顔で胸を張っている。俺はその様子を見て、夏樹に小声で話しかける。
「なあクリーナーの掃除の仕方はまだしも、頭部の外し方まで見ると、俺はこのクリーナーを開発した人のセンスを疑うざます」
「そうざますね。やっぱりこの話はなかったことにするざますかね……」
そんな俺たちに構うことなく、二つ目のオプションが紹介される。
「それから二つ目のオプションざますが、これは会議でもかなり付けるかどうかもめたざます。実はクリーナーヴァージョンに加えて、ぬいぐるみのシャンくんを付けようという案があるざます……」
——ゴンッ
担当の人の言葉が終わらないうちに、夏樹がテーブルに頭を打ち付けるのも気にせずに土下座していた。
「是非、お願いするざます!」
「ええ、……わかりましたざます。それでは以上でよろしければ、こちらの方にサインをお願いするざます」
夏樹の必死さに若干引き気味の担当さん。夏樹は差し出された契約書に一気に目を通すとサインした。
「ありがとうざます。それでは商品の方は半月からひと月ほどで店頭販売が開始される予定ですので、よろしくお願いするざます」
こうして俺と夏樹、そしてトイざますの話し合いは終わった。
ビルの外に出ると、俺と夏樹を太陽の強い日差しが出迎えてくれる。
「それじゃ」
「ああ、帰るざます」
俺たちのざますウイルス感染は、この後数日続いた。




