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第四十話 『試作品』

 「……という感じで、このような外見になっているざます。仕組みや使い方はこの後説明させてもらうざます」


 ざます、ざます、うるせぇぇぇ! 所々に入ってくる「ざます」が気になって、試作品の説明が全然頭に入ってこない!


 それにしてもクリーナーとして販売しようとしてるって言ってたけど、案外外見は普通だな。担当の人が持ってきた試作品は夏樹が作ったシャンくんそのものだった。ずんぐりとした二頭身のパンダ。こいつがクリーナーねえ……


 試作品を間に挟んで話し合う俺たちの元へ、女性がお茶を運んでくる。


 「お茶ざます」


 「ありがとうざます」


 やべえ、「ざます」がうつった! なにこれ、ざますって感染性のあるウイルスかなんかなのか!?


 お茶で唇を湿らせた俺はいよいよ本題に切り込む。


 「それで……このクリーナーなんですが、どのようにして使うざますか?」


 どうやら俺は完全にざますウイルスに感染したらしい。もう意識しなくても、ざますを使ってしまう。俺の質問に答える代わりに、担当の人は実演して見せてくれた。テーブルにわざと散らかした消しゴムのかすが用意される。


 「操作は非常に簡単ざます。掃除したい場所の目の前に、このシャンくんクリーナーヴァージョンを置くざます。そしたらここのスイッチを……」


 担当の人はシャンくんの背中にあるらしい、ボタンを軽く押す。その瞬間


 ——ベロオォォン


 シャンくんの口からカメレオンのような長い舌が出てきたかと思うと、あっという間にテーブルの上に散らかっていた消しかすを舐めとる。


 え! なにこれ、気持ちわりぃぃぃ! 性能はすごいけど、掃除の仕方が最悪だ。消しかすを舐めとった舌が、するすると口の中に戻っていく。


 「このようにして掃除をした後、ゴミはお腹の中の袋にたまるざますから、満タンになったら捨ててもらうざます」


 「「なるほどざます……」」


 俺と夏樹はそう返すだけで精一杯だった。どうやら夏樹もウイルスに感染したらしい。


 俺は再びシャンくんをまじまじと見つめる。クリーナーっていうから、てっきり足元に小さいはけかブラシが付いていて、それで掃除するのかと思ったが、予測は大きく裏切られた。だけどアイデア自体は面白い。最初は気持ち悪いと思ったけど、何回か自分で触っているうちに楽しくなってきた。


 子供、特に小学生の男の子あたりなら喜ぶのではないだろうか? あとはぬいぐるみとして販売して欲しいという夏樹の要望と担当の妥協点を見つけることができれば、問題は解決できそうなんだけどな。


 思索を巡らす俺と夏樹の方に担当が身を乗り出してくる。お? なんだ、なんだ。


 「それから数量限定ざますが、オプションを二つ付けようと思ってるざます」


 担当の瞳が一際怪しく光ったのを見て、俺と夏樹は唾を飲み込んだ。

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