表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/50

第二十七話 『お願い』

 「雪菜ちゃん」


 俺は一旦箸を置き、背筋を正すと真剣な顔で雪菜ちゃんを見る。雪菜ちゃんも俺の真剣な様子に気が付いたのであろう。食事の手を休めて、俺の方を向いてくれた。


 「竜なんでそんな急に真剣な顔を……っは! まさか雪菜に……」


 くそ、気づかれたか! 野生動物は勘がいいというがさすがというべきか。俺は獲物を狙うハンターのごとく、梓の次の行動を待つ。

 

 「まさか雪菜に交際を申し込むつもり? それはダメだよ!」


 その言葉を境に雪菜ちゃんが箸を落とし、コロコロとテーブルを転がっていく。顔をやや赤くしながら、上目遣いで俺の方を見た。はい? 交際? 高校生が五歳児に? 俺はそんな救えないような性癖は持ってない!


 「竜兄……リョリコンなの?」


 「違うよ、雪菜ちゃん。あとロリコンね。確かに可愛いとは思うけど……」

 

 俺は予想外の方向に話が進んだことで慌てるも、どうにか軌道修正しようと考える。勘弁してくれ、警察のお世話なんかになりたくない! ふと何か冷たいものを感じて、梓の方に目を向ける。そこには業火(ごうか)を背負う、般若(はんにゃ)がいた。


 梓めっちゃ怒ってるじゃん!


 「姉の前で妹を口説くとか、竜はどういう思考回路をしてるのかな?」

 

 梓がにっこりと笑いながら、聞いてくる。ヒエェェェ! お願いだから笑う時は目に光を灯して笑って! そもそもお前が話ふってきたんじゃないか!


 「ち、違うんだ梓。俺は雪菜ちゃんのことは……」


 そこで雪菜ちゃんがテーブルに身を乗り出して、聞いてくる。さっきまでの素晴らしいテーブルマナーはどこにかに消え去っていた。


 「竜兄、雪菜のこと好きじゃないの?」


 「いや、好きなんだけどね……っておい。梓は一旦手に持ってる包丁を置いてくるんだ!」


 勘違いで魚みたいに三枚におろされてたまるか! 何? 最近の幼稚園児って、この年でもう付き合うってことに興味があるのか? きっと昼ドラの見過ぎだよ!


 「俺は梓のことで雪菜ちゃんに提案があるんだよ」


 「なーんだ」


 「つまらないの」


 梓と雪菜ちゃんの熱が急に冷める。水をかけられた焚き火なみの鎮火の早さだった。


 「それで何?」


 クールモードに戻った雪菜ちゃんが俺に聞いてくる。


 「雪菜ちゃんが起きたら、幼稚園に行く前に梓を……」


 「無理」


 まだ最後まで言ってないじゃん! くそ、先を読まれたか!


 「あず姉は竜兄じゃないと起きないから無理」


 「ふふん、残念でした。あとご飯終わったら、課題見て!」


 なんで上から目線なんだ、こいつは。課題か。普通は金曜日と土曜日に頑張って、それでもダメなら聞いてくると思ってたんだが……こんな早いとはな。


 だけど笑う梓の目の下には、まだ薄くはなったがはっきりとクマが残っている。


 まあ、幼馴染だからな。俺は梓の課題を見てやることにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ