大人の廊下ってなんだよ!
話が一向に進まない。
そして城の廊下も延々と続く。
前者の原因が作者の技量足らずである事は言うまでもないが
やはり、この非道魔術師のせいだろう。
カレンの際限ない罵詈雑言の嵐とトラップの数々。
そして、いとも簡単にその罠にはまってしまう俺の愛おしい思春期のハート。
大人の対応がこの女には必要なのだろうが
背伸びをしてもやはり十六歳の少年と思い知らされてしまう。
「ケントさん、なにブツブツ一人ガタリしているんですか?
キモイですよ。キモイおっさん童貞みたいですよ」
ふっ、この言葉に反応してはいけないのだ。
この唾罵にいちいち耳を傾けない大人の男でいなければならないのだ。
そして、この女の容姿、色香にも反応しては・・・
「なんか暑くなってきました」
カレンは羽織っていたローブを脱いだ。
がら空きの白い肩が眩しい。
背中もどこまで開いているんだ・・・
もうちょっとでお尻が見えそう・・・
これでまた屈んだりしゃがんだりしたら・・・
「もう、ツッコミませんよ、エロいこと考えても、もう疲れましたから」
こっちのセリフだ。と思いながら俺は冷静さを保つよう心がけた。
でも、やはり谷間や脇の下に目がいってしまう。
「ねぇ、どうせならさっきの部屋に戻りましょうよ」
やはりローブを脱いだ恰好はエロい。エロすぎる。
「でも、結構歩いたぞ。またこの道を戻れってゆうのか?」
「すぐですよ」
「まさか魔法で戻るとか言うなよ」
もう副作用のある魔法は御免だ。
「魔法なんて使いませんよ。だって、すぐそこじゃないですか」
カレンは、すぐ近くのドアを指さした。
その動作で揺れる胸や横の大きく開いた肌の部分に目を奪われたが
カレンのあの蔑む表情に、俺は思わず目をそらした。
「え・・・そこがさっきの部屋?」
うそだ。結構城内を歩いたじゃないか。
「ぐるぐるグルグル同じところ回って・・・もう三周目ですよ」
はい?
「どんだけ廊下好きなんですか?廊下フェチですか?そんな性癖もあるんですか?
変態さんの世界って、底が深いんですね。どん底ですね。ドン引きですよ」
ちょっと待て。
同じところを回っていただと?
これだけの距離、これまでの時間ずっと?
気付いていたなら早く言えよ!
「あの、そんなに廊下が好きなら一人で回っていてください。
私、またあそこでお茶してますから」
見た目だけ超美人の露出フェチの女は
そう言うと一人で歩いて行った。
大胆な背中に目が釘付けの俺に、カレンは振り返って笑った。
「行くとこまでイッたら声かけてくださいね。
でも、お城の中で変なモノや変な汁出さないでくださいよ。
打ち首になる前に、違うところも切られちゃいますよ」
違うところってどこだ!
口に出して言ってみろ!
何なら俺が今ここで出すぞ!
いかん・・・
大人にならなくては・・・
大人の階段上ってさえいれば
あの魔法使いのセクシービームにもバリアがはれるのに・・・
少年だったと思える日が来るのか?
次話予告
定番中の定番、王道の中の王道
基本中の基本、いろはの『い』
初期設定に欠かせない単語がようやく登場する
だが、ゲーム音痴の主人公はそれを知らない・・・
次回「チートってなんだよ!」
プロレスには『ショー的要素』があると言いますが、この作品にはありません。念のため・・・