だからウィザードってなんだよ!
「ま、平ったく言うと『魔法使い』ですかね」
と、カレンはにこやかに言った。
確かに美人だ。
カワイイ。
てか、エロい。
鮮やかな金髪のボブヘアー
吸い込まれそうな青い瞳
透き通るような白い肌
顔立ちはミラ〇ダ・カーを十代に若返らせたような
可愛くも美しい可憐な少女だ。
一メートルはありそうな つばの大きなとんがり帽を斜めにかぶっている。
さっき俺の視界にかろうじて映っていたのはこれだったんだな・・・
着ている服は肩の部分が丸出しの黒のドレス
しかもミニスカ
さらに谷間BOMB!
二の腕まである手袋と
ひざ上まであるブーツ
そんな露出大だか小だかわからない格好の上にマントを羽織っているもんだから
なんかエロさが増している。
「え~と、これはマントじゃなくてローブです」
カレンが羽織りものを手でひらひらさせながら言った。
え?あれ?俺、言葉に出してた?
いや、言ってないんだが・・・
「ああ、あの、エッチなこと考えてると思考が伝わっちゃうんですよ」
天使のような笑顔だった。
え?魔法って事?
魔法で俺の心を読んだの?
今、俺とカレンは王の間から離れ、城の中の一室でお茶をしているのだが
俺がこの重い鎧を装着したまま動けるのは、カレンの筋肉増強魔法のおかげだ。
さぁ行け!行くがよい!と人を煽っていたいたエロジジイ(王様)が
「まぁお茶でも飲んで行きなさい」と鼻の下を伸ばして宣った。
「ケーキも用意させよう」という甘言にルンルンと目を輝かせた魔術師は
立て膝ついたまま動けぬ俺を
王の間に置き去りにする勢いで出て行こうとしたが
あの無駄にデカい帽子を忘れたことに気付き戻ってきた。
俺はあの微妙な名前の聖剣を
クソ重い鎧に立て掛けらる様に持っていたのだが
その柄に帽子を掛けていたのだ。
王より授かりし聖剣に・・・
彼女は俺が事情を話すと快く筋力アップの魔法をかけてくれた。
体が軽くなり立ち上がることのできた俺は
ようやく美人ウィザードの顔を拝めることができた。
うん、確かに美人だ。
だがそれはあからさまに人を蔑んだ表情だった。
つい今しがたまで、スケベ王も一緒にお茶していたのだが
彼女はあんな表情を欠片も見せなかった。
あれは俺の見間違えだったのか?
「そういえば、さっき転生前後の記憶が無いって言ってましたけど・・・」
「ああ、なんでこんな重い鎧着てるのか覚えてないって言ったことか?」
ティーカップを置きながら話しかける美少女に
ドギマギしながら俺は答えた。
「ええ、前世の最後の記憶も無いんですよね」
「ああ・・・」
ん?
前世?
死んだの?俺・・・
「それって転生魔法の副作用ですね。きっと」
「副作用?」
「ええ、魔法って脳や体に負荷がかかるんですよ」
「はぁ・・・」
「だから脳がダメージを受けて記憶が飛んじゃったりするんですよね」
にこやかな晴れ晴れしい表情でカレンは言った。
「え?」
「ほら薬にも副作用があるじゃないですか、それと同じです」
カレンは美しく笑っていた。
「ほぼすべての魔法に副作用があると思っていいですよ」
カレンの笑顔は最高にキュートだった。
ちょっと待て・・・
オマエさっき普通に俺に魔法かけたよな・・・
おいおい!
待て待て!
副作用ってなんだよ!
「じゃじゃじゃじゃあ、今俺にかかっている魔法にも」
「まぁ、ドーピングみたいなもんですからね」
噛みながら訊いた俺に、可愛すぎる笑顔でカレンは続けた。
「後からドーンと来ますね、きっと」
「そそそ、そんな魔法を俺にかけたの?」
「まぁ、私、魔術師ですから・・・」
カレンは涼しげに笑っていた。
「なんで平気に笑っていられるんだよ!」
「だって、私、魔術師ですもの」
カレンは不敵に笑っていた。
だから、
ウィザードってなんだよ!
次話予告
各話タイトルのテンプレートが、たかが五話目にして崩壊する
プロットなどという言葉とは無縁の拙作
「ご利用は計画的に」どこかで聞いたフレーズが脳裏を横切る
しかし、無計画にネタバレも厭わずタイトルをつける作者・・・
次回「天使ですか」
ネタバレするほどネタはありませんけど・・・