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Part2ってなんだよ!

 カレンからの手紙を読んで

 俺の目から、熱いものが一粒こぼれ落ちた。

「くそ、最後の最後に優しくしやがって・・・」

 女ってやつは、いつもそうだ・・・

『私、中学の時、榊原のこと好きだったんだ』とか

『うちのクラスでは一番人気だったよ、健人』とか

 クラス会や同窓会でカミングアウトしやがる。

 なんで、リアルタイムで言わないの?

 で、「じゃあ、今はどうなの?」と聞けば・・・

『もう、昔の話だし・・・』と過去フォルダーに簡単に振り分ける・・・

 ちくしょう・・・

 俺も、頑張れる気がする。

 辛い時には、この手紙を読み返して、頑張ってこの世界で・・・


 ブルルルル・・・

 広場のベンチに腰掛けて手紙を読んでいる俺の膝の上で、白い封筒が振動した。

 ん?

 空だったはずの封筒の中で、カレンが持っていた『天界交信機』が着信を知らせていた。

【着信 カレン(ハートマーク)】

 カレン・・・から?

 俺は、画面の【通話】をタップした・・・

 難なく『天界交信機』の操作をこなす・・・って、まんまスマホだな・・・


「もし~ケントさん?」

「よっ・・・」

 なんか、ちょっと照れくさい・・・

「今、天界に着きました」

「そ、そうか、速いな」

「ええ、私、天才ですから、マッハで到着です」

「うん、大したもんだ」

「ケントさん、その『天界交信機』見て、なにか気付きませんか?」

「ん?・・・あ、これ、俺のスマホじゃん!」

「やっと気付きましたか、そんなボクネンジャーじゃ

 私がグリグリ眼鏡かけても無駄でしたね、ウフッ」

「ああ、悪い・・・『ごうださん』だったよな、気付かなくてゴメン」

「いいですよ、私の方こそ黙っていて、すみませんでした」

 なんだろう・・・カレンの声がとても懐かしく思える。


「ああ、そんな事より・・・」

「ん?」

「スマホのエロ画像とか、エロサイトの閲覧記録とか

 ちゃんと隠すとか消すとかしないと、ケントさんの性癖バレバレですよ」

「はは、そうだな」

「あんなご趣味をお持ちとは、さすが『変態王』ケントさんですね

 ノーマルな私じゃ、とてもじゃないですけど、対処不可能ですよ」

「ははは・・・」

「あれ?笑ってます?『俺は変態じゃねぇ!』とかキレたりしないんですか?」

「ああ、お前からの手紙を読んだからな・・・」

「やだな、もう、照れるじゃないですか・・・

 あれは、昨夜、酔った勢いで書いたものなんで、捨ててください」

 ウソをつけ・・・酒など飲んで無かっただろ・・・

 それに今朝書いたのが内容から読み取れるって・・・


「いや、捨てないよ、あれは、俺の宝物だ・・・」

「もう、これだから変態さんは・・・」

 変態呼ばわりも、カレン流の照れ隠しなのだろう・・・それもまた、どこか懐かしい。

「わかりました、では、一つ良いことを教えてあげます」

「良いこと?」

「その手紙を一度くしゃくしゃに丸めて・・・」

「うん・・・」

「隅っこを持って、パンって広げると・・・」

「広げると?」

「私のヌード写真に変わります!」

「へぇ・・・」

「あれっ?喰いつき悪いですね、ヌードですよ、私のヘアヌード!ですよ」

「そうか、お前の顔が恋しくなったら、やってみるよ」

「う~ん、どうしたんですか?ケントさん、熱でもあるんですか?

 昨夜、血が一箇所に集まりすぎて、貧血でも起こしてます?」

「いや、大丈夫さ、手紙も、このスマホもお前からの贈り物だ。大事にするよ」

「ブー、ブー、なんかケントさんらしくない・・・」

「あ・・・」

「どうしました?」

「携帯の電池が・・・無くなる・・・」

「そうですか・・・そろそろ、本当にお別れですね・・・」

「ああ、いろいろとありがとうな、カレン・・・」

「ケントさん、電池無くなるまで、ずっとしゃべり続けてください」

「でも、何を・・・」

「なんでもいいんです、でないと私・・・」


 カレンの言葉の途中で、電池残量が0になった。


「カレン、俺もお前のことが・・・」

 通じていないスマホにした告白の言葉を、異世界の風がさらっていった・・・















 で、俺は早速、手紙をくしゃくしゃに丸めて、隅っこを持って広げた!


 紙が輝いて、しわの無い綺麗な新品によみがえった!

 そして、そこに映し出されたのは・・・


      W

      X

      Y


「ざけんな!」

 俺は、再び紙をくしゃくしゃにして地面に叩き付けた。


      完

         終わりかよ!





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