やったね!明日はホームランだ!
伝説のラブホ復活に喜ぶカレンだが、俺はこの趣味の悪い部屋を見て、チェックイン時に言われた言葉の意味を理解した。
以下、回想シーン・・・
――つい、さっきの事――
宿屋のドアを開けるとすぐにカウンターがあって、頭髪が薄いくせにオールバックの不愛想なオッサンがそこにいた。
「まいど~」
笑顔もなく関西弁風のイントネーションで俺たちを出迎えるオッサン。
「お部屋、開いているかしら?二部屋ほど」
どうした?カレン・・・エセセレブ的な口調になっているぞ・・・
「えろう、すんまへんなぁ、生憎今日は、ほぼ満室でしてな。一部屋しかご用意できませんのや・・・」
宿屋のオッサンの口調も、わざとらしいエセ関西弁に聞こえる・・・
「あら、それなら他の宿屋を探すわ。高貴なわたくしが使用人と同じ部屋などに泊まれませんもの」
誰が使用人だ!
てか、その設定なんだよ!
「まぁ、待ってぇな、姉さん。今日び魔王さんが倒されたさかい、冒険者さん方が街に戻ってきて、どこの宿屋も一杯でっせ」
ああ、なんだろう?
なんかムカつく、このニセ関西弁・・・
「でな、ウチに残っとる一部屋がスイートなんやけどな、通常の料金、いや、ベッピンさんの為や、『ご休憩料金』で勉強させてもらいまっせ!それで、どや!」
ご休憩料金ってなんだよ!
二時間一本勝負か?
「あら、スイートなのね。それなら仕方無いわ。ここに泊まるといたしましょう」
「おおきに!まいど!」
「それでは、ケント、お支払いをして頂戴」
だから何様?何キャラだよ!
俺はポケットならぬ四次元ポシェットから金貨を出して支払いを済ませた。
「あんちゃん、がんばるんやで」
宿屋のオヤジは小声で言いながら、俺に部屋の鍵を渡してウインクした。
「スペッシャルな部屋やでホンマ、オッサンのアシスト、送りバントはここまでや、あとはお兄ちゃんのバットでホームランや!」
そう言って親指を立てるオッサンの後ろの壁には、部屋の鍵が幾つもぶら下がっていた。
他にも空室があるんじゃないのか?
てか、なんだ?ホームランて・・・
――で、今部屋の中――
回想シーン終了。
俺のバットでホームランって・・・
そういう事か。
送りバントって、アシストって・・・
そうか、おっちゃん俺を応援してくれたんだな
カレンと〇〇できるように・・・
でも、このカレンが俺をベッドで寝かせてくれる筈がない。
『変態のケントさんは、どうせ床フェチでしょ』
とか何とか言って、俺に床で寝ろと言うに違いない。
「ああ、ケントさん、シャワー浴びてきてくださいね」
シャワー?そんなものがあるのか、この部屋・・・
「中世風味のこの異世界に、シャワールーム完備だなんて
さすが『転生組』ですね、あの主人、中々ヤリ手のようです
やっぱり、私の目に狂い無しですよ。さすが私!」
誰を褒めてんだか・・・
「一つのベッドで寝るんですから、それなりのエチケットは心得てくださいよ」
え?
いいの?
俺もベッドで寝て・・・
「私だって鬼じゃないんですよ、こう見えて天使なんですから」
あれ?
カレンが優しい?
カワイイ笑顔で笑ってる?
あれ?
打っちゃおうかなぁ・・・ホームラン・・・
次話予告
人生には大切にしなければならない三つの『袋』がある。
人生の晴れの日に使われる言葉だ。
だが・・・
人生、一寸先は闇。
おばあちゃんの知恵袋も、ヤ〇ー知恵袋も、
おじいちゃんの玉袋も、筋太郎も、助けてはくれない・・・
それでも、
一筋の光明を探し、人は生きる。
次回「今ここにある乳」
最終回直前!
ナニがヤバいくらいのアレが拡大SP!!
乞うご期待!!!




