遂に!魔王が!
「では、ご武運を祈っております。変態ケントさま」
姫に武運を祈られ送り出された俺だが・・・
嬉しいのやら悲しいのやら・・・
で、今、俺たちは王都の街並みに立っている。
「どうです?ケントさん。このファンタジーワールドは!
胸躍る冒険が待ち受ける夢のような世界!」
そう、物語冒頭の『プロローグ』の場面に戻ったという訳だ。
決してデジャブとかではない。
「ほら、ケモ耳娘ですよ!カワイイ!
ほら、そこ、妖精さんが飛んでます!!ヤバ~い!」
もし、ここが日本だったら、ホントにヤバい台詞だ・・・
どうやらカレンも、この世界の街は初めてのようで
辺りをキョロキョロしながら何かを見つけては、はしゃいでいた。
「さぁ!行きますよ!モンスター退治!!」
いや、このエロ天使のテンションの高さは、エッチしたい症候群か・・・
「で、どうするんだ?これから」
「そうですね、まずは軽く肩慣らしですかね」
肩慣らし?
「ええ、王都の外に出て
そこら辺の雑魚モンスターをチョチョイと狩ってきましょう
言わば、前戯の前の前戯みたいなもんです。軽いチューくらいの」
どんな例えだ!
下ネタから離れられない症候群だな・・・
「よし、行くか。都の出口はどっちだ?案内してくれ」
「さすが、姫ヤリ目のケントさん。意気込みが違いますね!
ヤル気マンマンですね!アレがビンビン症候群ですね!」
うるへー!
とっとと行くぞ!このエロボケ症候群!
ピン!ポン!パポ~ン!
ん?
中世風の街並みに田舎の役場から流れそうなチャイムが響いた・・・
『ツンDEレラ城、広報室から、王都の皆様にお知らせです』
若い女の抑揚の無いゆっくりとした棒読みの声が流れた・・・
ホントに村役場からのお知らせみたいだ・・・
「ツ、ツンデレラ城?って・・・」
「ああ、私たちがさっきまでいた王城の名前ですよ」
なんだよ、その名前!
パクるにしたってセンス無さすぎだろ・・・
「ちなみに、『ツンDEレラ城』の『DE』は
怪優『ロバー〇・デ・ニーロ』の『DE』と同じです」
どうDEもいいわ!そんな情報!
『・・・魔王討伐に向かった「王都選抜騎士団」と冒険者連合「義勇軍」は・・・』
相変わらずのペースDE、無感情のまま役場ならぬ城の広報のお姉さんは告知を続ける・・・
『・・・魔王城にて、見事魔王を打倒いたしました』
へ?
『繰り返します、先ほど届いた伝令によりますと・・・』
今、なんて?
『・・・魔王討伐に成功いたしました』
はぁ?
「おお!!」
「これで、アルカンタも平和になる!」
「もう、魔物たちに怯えることもないのね!」
「やったー!」
お知らせ放送のお姉さんの声とは対照的に
王都の街には歓喜の声があふれた!
「すごいぞ!騎士団!」
「よくやった!義勇軍!」
「平和だ!万歳!」
「王様万歳!」
「王国万歳!」
「Vive La France!」
おい、最後のは関係ないだろ!
王都の民衆と共に、カレンも喜び両手を上げていた・・・
「わ~い!ばんざ~い!セックス万歳!!」
こらこら!
どさくさに紛れて、大声で『セックス』って叫んでんじゃねぇ!エロ天使!
「おい、どうするんだよ?俺たち」
「もう、なんですか?ケントさん
おめでたい時にそんな仏頂面して・・・
おめでたい時は、おめでたい顔で一緒に喜びましょうよ!」
「いや、だからさ、どうすんだ?魔王討伐の旅・・・」
「あ・・・そうですね・・・どうしましょうか・・・」
本当におめでたいのは、コイツの頭らしい・・・
「魔王が倒された以上、もう討伐する必要はないですよね・・・」
ああ・・・それで?
「魔王がいなくなったってことは、モンスターたちもいなくなります・・・」
へぇ~、で?
「ハッピーエンドのGAME OVER みたいな?・・・」
だから、勇者の俺は、この先どうすんだよ?
「まぁ、私は一度天界に帰ります」
お前の事はいいよ!
どこに帰ろうが、好きにしろ!
俺はどうなる?
日本に帰れるのか?
「いやぁ、それはさすがに無理かと思いますよ・・・ケントさん変態ですし」
変態関係ねぇーよ!てか、変態じゃねーよ!
「俺と姫の結婚は?」
「それも無しですね」
「側室量産でハーレム生活は?」
「もちろん、それも無しです」
「俺はこの先どうすればいいんだ?」
「そうですね・・・平和になったこの世界で、のんびりと変態業でも続けてください」
どんな職業だよ!
必要ないなら日本に帰してくれよ!
ああ、どこにでも行けるドアが欲しい!!
次話予告
最後の晩餐、最後のご褒美・・・
再度会うことのない男と女は
最後の夜を謳歌する・・・
最終回目前で物語は遂に!・・・
次回「ラブホってなんだよ!」
大丈夫ですかね?
大人の事情で打ち切りになったりしませんかね?
大団円を待たずに終了したりして・・・




