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ゲコゲコゲコッ!

「姫を連れてきた」

 そう言って王様は部屋の入口に立っていた。


 変わり果てた姿の俺を見つけると

 金ぴかの王冠をかぶった爺さんはテーブルに近づいて嘆いた。

「勇者よ!なんといういたわしい姿じゃ!」

 カエルバージョンの俺に同情してくれたのかと思いきや

 すぐさま、ローブを脱いだカレンをいやらしい視線でなめまわした。

「ほう、なるほど・・・うむうむ」

 こんな時にまた発情してんじゃねぇ!


「これでは無理もなかろう、男なら誰でも飛びつきたくなるわい。

 そりゃぁ、乳の一つも揉みたくなるよのう」

 だから、そんな事言ってる場合じゃねーって・・・

「やはり、そなたは勇敢じゃのう

 呪いを恐れることなく魔術師ウィザードの胸を揉みまくるとは」

 揉んでねーよ!

 指をちょっとだけ挟んだだけだよ!


「聞いたぞ・・・」

 ?

「そなたの超絶技巧で魔術師ウィザードを歓喜させたのじゃろ」

「してねーよ!」

「してねーよ!」

 カレンの言葉と俺の『ゲコ!』がシンクロした。


「色っぽい声を上げて悶絶して、

 エロい溜息をついて床にへたり込んだそうじゃないか」

「悶絶してねーよ!」

 カレンはすっかりキャラ崩壊していた。

 

 話が尾ひれどころかつのや羽根まで生えて伝わってやがる。

 俺は真面目な青少年だ。

 無法者の荒くれテクニシャンではない!

 誰だ?誰の報告だ?

 夕刊紙のエロ記事じゃねーんだから

「ガセネタ流してんじゃねーよ!」

「ガセネタ流してんじゃねーよ!」

 俺のゲコッ!とカレンのブツブツがまたユニゾンした。 


「・・・そうじゃったのう?」

 王様が卑猥な笑みでカレンを見つめたままそう言うと

 給仕のオッサンが手帳を見ながら答えた。

「はい。そして、『どうだ』とドヤ顔の勇者殿を魔術師ウィザード様は物欲しそうな眼差しで見上げておりました」

「お前か!」

「お前か!」


「あの七三オヤジ、魔法でツルッパゲにしてやる!

 いや、むしってやる!

 蠍固めスコーピオンデスロックキメた状態で、この手で一本残らずむしってやる!」

「まぁまぁ・・・」

 ゲコゲコとカレンをなだめる俺に奴は言った。

「キレてないっすよ」

 美少女魔術師ウィザードは、キャラ崩壊どころか、もうすでに別人だった。


「うむうむ、さすが勇者ケントじゃ」

 王様は鬼オコ長州な魔術師ウィザードの胸から目を離さなぬまま、俺に話しかけた。

「勇敢なのは認めるが、その姿では魔王討伐に支障があるじゃろうて」

 スケベ王の視線はさらにカレンの背中を舐め下す。

「まぁ、そなたならカエルの姿でも容易たやすいかもしれんがのう」

 いやいや、そんなに強いのか?

 カエルだよ!俺。

 カエルじゃ無理だろ、魔王退治・・・


「じゃが、やはり人の姿に戻ってもらわんとのぉ・・・」

 ん?

 泣いてる?

 あれ?スケベジジイが泣き出した。

「じゃから、じゃから、ワシは・・・」

 王が号泣しだして言葉が継げなくなった。

「我が偉大なる王は・・・」

 給仕が直立してしゃべり始めた。

 てか、なんでアンタ?

「王は、勇者殿の呪いを解くために、ひ、姫を・・・ぐすん」

 あれ?

 なんでアンタも泣くの?

「しめ・・・姫様の接吻を・・・うっうっ、勇者殿に捧げるそうです!」

 そう言い終わると七三給仕はまた泣き出した。

 王様はテーブルに手をついて号泣しながらもカレンをチラ見していた。

 泣くかチラ見かどっちかにしろよ!

 衛兵たちや王のお付きの者みたいな他の取り巻き連中も

 みんな泣いていた。大の大人が何人も・・・


「ひ、姫様、お願いします」

 従者の一人が泣きながらそう言うと

 号泣する男たちの人垣が割れて入口に女が現れた。


 へ?

 お婆ちゃん・・・ですけど・・・

 

 娘じゃなくて王様のママじゃないの?


 三つ編みにした白髪。

 鷲鼻にちょこんとかけられた丸い眼鏡

 ほうきを手に持って・・・って

 姫ってゆーよりも、まんま魔法使いのお婆さんじゃねーか!


 いやだー!

「俺の初チューの相手が、こんなんじゃヤダー!」

「ゲコゲコ失礼ですよケントさん。姫に聞こえちゃいますよ」

「なぁ、カレン!お願いだから俺の初チューを奪ってくれ!」

「はぁ?」

 カレン必殺の『さげすみ顔』にも屈せず俺は懇願した。

「初チューをあんな婆さんに捧げるくらいなら、お前の方がまだましだ!」

「ホントに失礼極まりねーな!」

 『蔑み顔』がさらに三白眼に進化した。

「ケントさん、魔法で焼き殺しますよ。カエルの姿焼きにしますよ。

 いやいや、炭も残らないほど焼き尽くしましょうか」


「お願いだ!カレン様!俺とチューしてくれ!」

「嫌ですよ」

 セリフとは裏腹に笑顔に戻ってカレンは言った。

「これ以上私にエッチな事したら、カエルどころか

 ミジンコかミドリムシになっちゃいますよ。それでもいいんですか?」

「でも・・・」

「ゾウリムシにでもなっちゃったら、呪い解除のキスもできませんよ。

 チューしようとして間違えて食べられちゃいますよ、熟女に」

 熟女?老婆だろ、どう見ても!


 はぁ・・・

 人間に戻るためには仕方ないのか・・・

 でも・・・

 やっぱり、ヤダー!

 ゾウリムシになってもカレンの方がまだましだーっ!



次話予告

 遂に少年は大人になるのか?階段登っちゃうのか?

 人間に戻れるのか?

 その時、少年は?王は?魔術師は?

 そして、姫は・・・


次回「姫、来たー!」


 尚、この予告は予告なしに変更および改変される場合がございます。予めご了承ください。

 つまりは、本文が出来上がってないって事です。


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