ゲコゲコッ!
「おい、一体どうなってんだよ!お前『迷信』とか言ってたよな!
なんでカエルになっちゃったんだよ!
これ、元に戻せるんだよな?頼むからなんとかしてくれ!」
俺はテーブルの上でカレンに怒鳴るように懇願していた。
カエルの姿で・・・
「もう、ゲコゲコうるさいですよ、ケントさん」
そう言いながらカレンは魔術書を読んでいる。
あの『サルでもわかる魔術入門』だ。
「ちょっと待ってくださいね・・・
今、動物と会話できる魔法を検索してますから・・・
まぁ、何を言おうとしているかはだいたいわかりますけどね」
やはり、俺の言葉は通じていないのか・・・
はぁ、魔法か、後遺症のことは気になるが仕方ない。緊急事態だ。
俺はケーキの皿の横に立っている。いや、この姿勢は座っているのか?
とにかく、この嘘つき魔法使いがカエルの俺をテーブルの上にあげた。
「これ以上パンツ覗かれても嫌ですから」
そう言って俺にティーソーサーに乗るように指図して
まるで汚物でも扱うかのように俺をテーブルの上にあげたのだ。
「こんなヌルヌルとか、もう無理です。手袋していても触りたくないです。
あと、言葉が通じなくてもエロいこと考えるとわかりますからね。カエルでも。
のどの所以外は大きくしないでくださいね」
普通の気持ちも伝われよ!
のどの所以外ってどこだよ!
なんなら出すぞ!って、俺、裸だった・・・
でも、至近距離で見るこの谷間はやっぱエロい。
俺が小さくなっている分さらにデカく思える。
ページをめくるたびに揺れて
甘い香りが風に乗って・・・
あっ・・・
カレンが検索を中断して、俺をあの蔑んだ表情で見下していた。
「まったく、もうそのままカエルの姿でいたらどうですか?
女風呂とかいろんな所ノゾキ放題ですよ。
人がせっかくケントさんのために読みたくもない魔術書読んでいるのに。
そんな姿になってもエロいことしか考えてないんですね。このエロガエル!」
「わーごめんごめん!つい・・・」
「あ~あ、なんかもう飽きちゃいました」
「悪かったよ!だから、俺を元に戻す方法を探してくれ!
って、待てよ、俺がこんな姿になったのもお前のせいじゃないか!
しかも、ちょっと胸の谷間に指をほんの少し挟んだだけだぞ!」
「パンツだって覗いたくせに」
ん?
「あれ?言葉通じてない?」
「あ、ほんとだ。ケントさんのゲコゲコの意味がわかる
やっぱ私って天才!
あ、でも私、魔術師だから元々動物と会話できるんでしたよ」
「お前な・・・さっさとその本で俺を元に戻す魔法を探せよ!」
「う~ん、でも呪いの解除ですからね
こういうのは魔術師より司祭の仕事かと・・・」
「俺には違いが分かんねぇよ!魔術師も司祭も」
「全然違いますよ。ガ〇ガリ君スイカ味とス〇カバーくらい違いますよ」
やはり俺には違いが分からん。
「でも、コーンポタ味はないですよね。ちょっと冒険しすぎですよ」
もう国民的アイスの話はいいから
「あ、呪いの解除と言えば・・・」
「言えば?」
「やっぱ、お姫様のキスですよね」
「お姫様?」
「王の娘のことですよ」
姫ぐらい分かるわ!
「おとぎ話とかでよくあるじゃないですか
魔女に姿を獣に変えられてしまった王子にお姫様がキスすると
呪いが解けて美男子の白馬の王子が復活するみたいな」
はぁ・・・
「ケントさんみたいなハレンチ王子でもきっといけますよ!」
一昔前のカタカナ王子風に人のことを呼ぶな!
「でもさぁ、姫って王様の娘だろう・・・」
「ええ、『姫始め』の姫ではないですけど」
人のことは言えないかもしれないが
この状況で話をそっちに持ってくな!
「あのジイさんの娘だったらかなりの年齢いってないか?」
「いいじゃないですか!熟女。美魔女かもしれませんし。
童貞のケントさんなら手のひらの上でコロコロですよ!」
確かに、今の俺のサイズなら手にも乗るだろうよ。
でもなぁ・・・人間の姿に戻れるとはいえ、相手がなぁ・・・
だって俺のファースト・・・
バタン!!!
いきなり部屋の扉が勢いよく開いた。
王様だ。
あのスケベ王が立っていた。
「勇者殿・・・」
王は悲し気な顔で言った。
「姫を連れてきた」
次話予告
カレンがキレる
王が泣く
衛兵も給仕も従者も号泣する
そして、姫が・・・
次回「ゲコゲコゲコッ!」
早く人間になりたい・・・って、カエル回いつまで引っ張るつもり?




