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ゲコッ!

「ケントさんのチート、『延髄切り』だったりして」

 カレンは、またもやケーキをほおばりながら碧い瞳を輝かせて言った。


 お前どんだけケーキ好きなんだ?どんだけ食ってんだ?

 それに、どんだけプロレス好きなんだ・・・しかも全部昭和じゃねえか!

「チート技発動の詠唱は『いち、に、さん、ダー』ですかね」

 カレンの「ダー」という声と共に口元からケーキの欠片がこぼれ落ちた。

 プロレスフェチ美少女のドレスからこぼれそうな胸の谷間に・・・


「あっ」

 おっ!

 思わず豊満な谷間を凝視してしまった俺にカレンは微笑んだ。

「こういう時は『もう、子供みたいだな』って言って、指で取って自分で食べてくれるのがお約束じゃないですか」

 いいの?

「口で直接いくのもありですかね」

 い、いいんんですか!

 ホントに、いくぞーっ!バカヤロー!


「ま、ヘタレでムッツリのミジンコチェリーボーイさんには

 そんな度胸ないでしょうけど」

 そう言って、見た目完璧パーフェクトのエロ魔術師は

 そのたわわな胸を俺の目の前へと突き出した。

 奴の大惨事カタストロフィな言葉に怒ることも忘れて

 俺はその谷間を凝視した。


 ビッチの挑発に乗ったわけでも

 性欲の制御が利かなくなったわけでもない・・・

 魔が差した・・・のか?

 それとも脳の扁桃体が機能しなくなったのか?



 俺の右人差し指が、美人魔法使いの胸の谷間にハマっていた。



 俺は赤面することもなく無表情だった・・・と思う。

 フツーに女子の女子らしい部分を指で触れていた。

 さわられた女子の方も、得意の罵詈雑言が止んで一瞬素の顔になっていた。

 だが、すぐさま透き通るような白い肌が紅潮し

 同じく白い端正な顔が青白くなった。


「いやぁああああ!」


 美少女魔術師は両手で胸を抱きかかえて悲鳴を上げた。

 指から離れて行く胸の触感を堪能していた俺も、その声に我に返ったが

 指差し確認みたいな恰好で固まってしまった。


「どうなさいました?魔術師ウィザード様!」

 カレンの悲鳴を聞き、近くにいた給仕のオッサンが駆け寄ってきた。

「何事だ!女の悲鳴とは!」

 部屋のドアを蹴破るように城の衛兵らしき男も駆けつけた。

 さっきは廊下に人などいなかったのに・・・


 部屋の床に胸を抱いて座り込むカレン。

 駆け寄る男ども。

 俺は自分の犯した罪に苛まれることなく

 美少女の背中を見つめていた。


 やっぱエロい。

 あの体勢だと横チチ見えそう・・・


 はっ!

 どうしてしまったんだ俺は?

 女子に悲鳴を上げさせて平然としている?

 いや、体は固まって動かない・・・動揺しているのか?

 だが、なぜ、エロいことを考える?この状況で・・・

 頭壊れたか?

 脳みそ〇コメ化か?

 カレンの言葉攻めに遂にイっちゃったか?


「あの男が私の胸を触ったの」

 涙ぐんで男たちの質問に答えるカレン。

「ゆ、勇者さまが?」

魔術師ウィザード殿の胸を?」

 男たちはドン引きで後ずさりしながら俺を見た。


 あれっ?俺のした事って、そんなに大罪?

 首切られちゃう?違うところも?


魔術師ウィザードになんてことを・・・」

「相手は魔術師ウィザードだぞ・・・」

 給仕も衛兵も顔面蒼白でそう呟いた後

 部屋から転がるように逃げ出していった。


 待て待て。

 女子を泣かせた俺も悪い。エッチな事したのも認めよう。

 だけど、大げさすぎないかな?リアクションが。

 たかが胸の谷間に指入れただけじゃん。

 だいたい、泣いている女の子を一人残して逃げるってどうよ?

 その泣いている女子だって、今まで散々俺を口汚く罵っていただろうが。


「ケントさんのエッチ」

 少し落ち着いたのだろうか、カレンがほっぺを膨らましてこちらを見た。

「ごめん、ホント悪かったよ」

 指差し確認状態で固まっていた俺も

 ようやく立ち上がって可愛い顔ですねる少女に詫びた。

「なんか、こう、つい・・・ね、出来心っていうか、流れで・・・本当にゴメン」

「もう、いいですよ。

 ケントさんがエッチな男の子なのを知ってて、私もふざけすぎました」

 差し出した俺の手を取り、カレンは立ち上がった。

 あれ?

 なんか思ったより従順だな。

 てっきり侮辱のマシンガントークが乱射されるのかと思ったが・・・


「それにしても、なんであいつらあんなに慌てていたんだ?」

「はぁ?」

「給仕のオッサンと衛兵だよ。逃げるように飛び出していったぞ」

「ああ、あの人たちですか」

「そ、そんなに重罪なのか?その、女の子にエッチな事するのが・・・この国では」

「いえ、そんなことないですよ」

「ギロチンとかに・・・されない?」

「大丈夫ですよ」

 カレンは、つば広の帽子を直しながら言った。

「この世界では魔術師ウィザードにエッチな事すると

 カエルにされてしまうって迷信があるんですよ」

「カエル?それって迷信だよね・・・」

「ええ、根拠のない迷信です。それに魔術師ウィザードは私の仮の姿ですし・・・」

「そうか、一瞬ちょっとびびったぜ。ゲコッ。カエルになんか変えられたら・・・」


 席に戻ろうとする俺の体が妙に軽くなった。

 同時に俺の後ろでガシャガシャと音がした。

 振り返ると俺が着ていた鎧が床に落ち重なり合っていた。

 その巨大な鎧を俺は低い目線から見上げている・・・


 ん?

 なんだこれ?

 ゲコッ・・・


 ゲコッってなんだ?


 崩れ落ちた鎧の山の向こうから

 やはり巨大なカレンがこちらを見下ろしていた。

 両手で口を押さえ驚いた様子で・・・


 なんだこれ?ゲコッ・・・

 どうなって・・・ゲコッ・・・

「カレン!これは一体?」

 俺は叫びながら魔術師ウィザードに駆け寄り、彼女を見上げて訊いた。

 言葉が通じないのか、彼女は驚嘆の眼差しで俺を見つめたままだった。


 なんだこれ?ゲコゲコッ!

 俺はゲコッ

 カエルになったのか?ゲコゲコゲコ!


 ただ、男のさがとは悲しいものだ。

 こんな非常事態でも、たとえカエルになっても

 つい、短いスカートの中に目がいってしまう。


 白でもノーパンでもなく


 黒だった。








次話予告

 信じる者は救われる

 イワシの頭もなんとやら・・・

 人は窮地に陥った時、藁にもすがる

 しかし、困惑の中でも十代男子の心は揺れ動く

 甘美に揺れるあのモノに・・・


次回「ゲコゲコッ!」


 だから、タイトル手抜いてない?


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