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Revenge  作者: ひまじん
第1章 痛みに呻く
5/17

反転

遅くなってしまい申し訳ありません。

「またねー」


 サエと別れを言い合うと、俺と神楽はもと来た道を戻っていく。

 リュウジとはもう既に別れている。

 つまり、今は神楽と二人きりというわけである。

 いい機会なので、聞きたいことを聞こうか。


「神楽、出身中学言ってなかったけど・・・どこなの?」


 自己紹介をしたときから気になっていたが、なかなか聞けずにいたので聞いてみる。

 とゆうか、担任も気づけよ。


「・・行ってない」


 やべぇ、地雷踏んだか、コレ


「ごめん」


「?」


 俺が謝ると不思議そうな顔をする神楽。

 いや、あんたのためを思って謝ったんだけど・・・。

 そのまま話す話題が見つからずに、時間だけが過ぎていった。




「ただいまー」


 そう言って自宅のドアを開ける。

 神楽と別れたのは少し前だ。まさか、あの林の中を曲がっていくとは思わなかった・・。

 せっかくの話す機会を無駄にしたな、と思いながら靴を脱ぐ。

 すると階段からドタドタと音を鳴らしながら何かがこちらに近づいてくる。


「おかえりー!」


 そういって抱きついてきたのは、妹の村雨明(むらさめあかり)

 俺と同じ深い黒色の髪をストレートに伸ばした少女だ。


「靴脱ぎずらいから離れろ」


 妹に顔も向けることなく、ぶっきらぼうに言い放つ。

 どうせ話せるれるわけないので言っても無駄だろうが、一応言う。


「お兄ちゃんのい・け・ず♡」


 そう言って抱きしめる腕に力を込めるアカリ。

 なにアホぬかしてんだコイツ、と思いながらなおも抱きついたままのアカリを引きずって、台所へ向かう。

 冷蔵庫に貼られたホワイトボードを見ながらため息を一つ。

 俺が見たのは料理の担当表だ。

 ホワイトボードには、朝昼晩と縦に書かれ、その隣にアカリと俺の名前が書かれている。

 昼の文字の隣には、タイチと書かれてある。

 ちなみに担当の決め方はじゃんけんだ。


「今日の昼食は俺か・・・というわけで早くどけ」


 料理をするにもどいてもらわなくてはできない。


「わかった!」


 まだ抵抗を続けるかと思いきや、意外とすんなり離れてくれた。

 そのまま台所を出て左へ行ったところを見ろとおそらくトイレに行ったのだろう。

 台所に取り残された俺は、とりあえず着替えるために、玄関に置きっぱなしのバックを拾って二階へ上がっていった。




「ごちそうさん」


 遅めの昼食を食べ終え食器をかたずける。

 今日の昼食係は俺だから当然洗い物も俺だ。


「風呂洗っといてくれよー」


 リビングでテレビを見ているアカリに、洗い物をしながら言う。


「うん、ちょっと待って、今良いところだから・・・うわ!すごい!爆発したよ!すごい!」


 何を見てんだか。


 俺が妹と二人暮らしをする事になったのはつい最近だ。

 母さんは俺が高校に入る少し前に、単身赴任で遠くへ行っている父さんのもとへ行った。

 だからと言って子供二人残すのはどうかしてると思うだろうが、これは俺とアカリの提案だ。

 そもそも母さんは、掃除と洗濯以外は家事ができなかったので、家事の問題は特になかった。

 そんな訳で妹と二人暮らしをしているわけなのだが・・・・


「おい、風呂にまでくんな」


「いいじゃーん!」


 なかなか風呂に入らないと思ったらこういうことか。これからは意地でも先に入れさせよう。




 今日は神楽とは学校で分かれ、サエとリュウジと買い物に来ている。

 サエは今日の夕飯の買い物をし、リュウジはどこか行った。

 特に何か買いたいわけではないので、サエを探していると案外すぐ見つかった。


「何買ってんだ?」


「あ、たいち君。あのね今日はカレーだからジャガイモを買おうとしてたの」


 カレーか、今日はアカリが担当だし明日の夕飯はカレーにしようかな。

 俺にじゃんけんでぼろ負けしたアカリは、今日一日と明日の朝と弁当担当だ。


「おい!なんかすげーシャーペンあったぞ!」


 リュウジが興奮気味にこちらに向かってくる。


「押すと爆発すんだってよ!」


 不良品じゃねぇか。




 俺はサエたちと別れ、少しだけ暗くなった空の下一人で帰宅していた。

 財布の中身を確認しながら歩いていく。

 母さんからの仕送りはまだ少し先だから考えて使わなきゃな。

 公園の近くまで来て、家まであと少しだというところで、ポケットにおつりが入ってたこと思いだしたので、公園のベンチに買い物袋を置く。

 ポケットからお金を取り出そうとすると10円玉が転がっていく。

 財布をベンチに置き、10円玉を追いかける。

 砂場で勢いを失い倒れた10円玉を拾う。

 たかが10円、されど10円だ。10円を嗤うものは10円に泣くぞ?

 ベンチに置いてきた財布を取ろうと前を向くと



「なんだ・・・ここは・・・・・・・・」



—————————世界が違っていた。

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