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Revenge  作者: ひまじん
第2章 策略
14/17

能力

説明が多めとなっております。

 楓さん達と出会ってから1ヵ月・・・もたってないな。3はないし2週間がたった。

 その間この世界の事や各自の能力について調べたりした。

 この世界についての目新しい情報は特にない。

 なぜか敵とエンカウントして、戦うことになる。

 ああ、そう言えば、なぜ戦うのか。それは分かった。

 能力者を倒すと金をもらえるそうだ。

 なんで倒したのがわかるんだ?とか、どっから来るんだその金は?とかいろいろ聞きたいところだろうが、俺もわからない。

 さて、この世界の仕組みとかについて分かったのはこの程度だ。次は能力だな。

 能力については色々分かった事がある。

 まず、説明する前に知っていてほしいものがある。

 それは「魔力」という、ゲームで言うところの、MPみたいな感じの存在だ。

 さて、これを踏まえたうえで、俺達「折れない刃」のメンバーの能力を説明しよう。


 まずは、説明しやすい楓さんから。

 彼女の能力は、「触れたものを刃に変える能力」だ。

 発動条件は触れること。形は自由自在だが、質量を増やすことはできない。つまりどんな固いものでも粘土みたいに扱えるってことだ。形は刃物限定だが。

 これだけ聞くとあまり強くなさそうだが、この能力を最強たらしめているのは楓さん自身の身体能力だ。実際、楓さんが強すぎて俺はほとんど何もしていない。


 次に奏さんだ。

 能力は「相手との間に制約、ルールを作る能力」だ。この能力は、奏さんが魔力で出した紙でしか発動しない。(この紙を出すことが発動条件だ)おまけに、相手との合意がなければ、発動しない。


 次に一郎さんこと爺さん。

 堅苦しいから別の呼び方にしてくれ、と言われたので爺さんと呼んでいる。

 さて、爺さんの能力は、「触れたものをもう一度触れることで、最初に触れた時間まで戻す能力」だ。

 俺が爺さんに1度触れられて、30分後に誰かにボコボコにされて帰ってきたら、爺さんがもう一度俺に触れれば、「最初に触れてからもう一度触れるまでの間の時間を寿命から引く」ことを代償に、俺は30分前の状態へ戻る。

 その間の記憶はなくならないが、最初に触れて再度触れるまでの時間が、1時間を超えると爺さんの代償は重くなり、間の記憶が無くなることがあるらしい。

 ちなみに、1度触れてもう一度触れると、もう一度触れた時間から1時間だ。


 最後は俺、俺の能力は「痛みを蓄えて、その痛みを使って身体能力を強化する能力」だ。

 痛みは負おうとすればどこまでも負える。つまり、いくらでも痛みをためられる。

 さらに、負った傷は回復する。やられたらどこまでもやり返す。まさに復讐(リベンジ)というわけだ。

 一見強そうなこの能力の欠点は発動条件だ。

 痛みを負うこと。たったコレだけの条件がどこまでも俺を苦しめる。もし俺が痛みを超える事が出来たなら、もっと楓さんの役に立つ事が出来るのに。


 さて、メンバーの能力についての紹介も終わったな。

 じゃあ最後に、能力の基礎についてだ。

 この話は今まさに楓さんが俺に教えてくれようとしている。


「能力を使うには発動条件か代償があることは言ってたわよね」


 俺は外套の明かりのもと、楓さんとベンチに座りながら話を聞いていた。

 楓さんの話にうなずくことで返答すると、「じゃあ次」と言って話を続けた。


「能力は自分の何かと関係があるのだけれど、何かわかる?」


 微笑みながら俺に聞いてくる。

 ヒントがないため、さっぱり分からないがとりあえず答える。


「性格とか?」


「違うわ、正解は「過去」よ」


 過去・・俺の能力は過去に関係するのか。

 でも、なんかあるか?まったく思いつかないんだが。


「別に無理して思い出すことないわ。ただ関係があるってだけで戦いに関係があるわけでもないしね」


 そうか。楓さんが言うのだから、多分そうなのだろう。

 でも、少し気になるな。


「さて、本題へ行こうかしら。今日呼んだのはしてきてほしいことがあるからよ」


 してきてほしいこと?

 俺は声には出さなかったが、きっと顔に出ているだろう。


「能力には「決め手」と言うものがあるわ。まぁ、これは私が勝手に言っているだけで、必殺技とか奥義とか呼び方はいろいろあるわ」


 今まで戦ってきたのは、天霧戦を含めて2回しかないが、何となくそういうのがあるというのは分かっていた。

 戦っている最中に技名を叫ぶなんて、漫画かアニメかよ。とは思っていたが、そういうことだったのか。


「自分の能力をよく知って、決め手を考えて頂戴。これは私たちのためでもあり、あなたが戦うすべを得るためでもあるのよ」


「そんなすぐに思いつきますかね」


「そうね。ちなみに、奏さんの決め手は「強制契約」と言って、相手との合意を得ずに制約を作るという決め手よ。この決め手は強力で、例えば、「〇〇の動きを止める」という制約で「強制契約」させた場合、相手の動きを止めることができるわ。でも、動きを止めている間奏さんの魔力は減り続けるわ」


 そういえば2回目の戦いのとき、突然相手が動けなくなったことがあった。あれは奏さんの決め手だったのか。

 俺はなるべくデメリットのない決め手がいいな。能力がもう既にデメリットみたいなもんだし。


「まぁ、奏さんの決め手はあくまで一例よ。そんな難しく考えないで自分の思う通りの技にすればいいわ」


 難しく考えない、か。そんなこと言われてもなー、必殺技だぞ?できればカッコいいのにしたいじゃないか。うん、考えるだけで心が踊る。


「ちなみに楓さんの決め手ってどんなの何ですか?」


「私?私は見た方が分かりやすいと思うんだけど・・今は無理だからまた今度ね」


 かなり見てみたかったが、無理だと言われれば引くしかないだろう。

 まぁ、楓さんは能力がなくても人並み外れた身体能力してるから、決め手なんて使わなくても相手を圧倒できるんだよなぁ。

 ただでさえ強いのに決め手なんて、まさに鬼に金棒だ。


「さて、もう帰るとしましょうか。少し寒くなってきたし」


 今日新しく伝えられたのは決め手の事だけだったが、楓さん曰く「話は公園まで走ってくるトレーニングのついで」らしいのでここまで走ってくることに本来の意味があったのだろう。

 家からこの公園まで約6キロだから走るのぴったりの距離なんだよな。

 ちなみに楓さんの住んでいるマンションはここの近くにあるそうだ。

 俺は走って行き帰りしなきゃいけないのに、楓さんは近くで良いですねーなんて思ってませんよ。・・・思ってませんよ。


「ああ、そう言えば携帯の番号とか教えといた方が連絡取りやすくていいわよね」


 楓さんはそう言って帰ろうとしていた足を止めてこちらを向きなおす。

 こんな美人とアドレス交換・・

 今までは戦いの中のカッコいい楓さんしか知らなかった。だから、恋愛感情とかよりも憧れの方が強かった。

 でも、今なぜか急に胸が高鳴った。妙に現実感が出たというか、絶対に届かないと思っていた所にもう少しで手が届きそうな、そんな感じがした。

 だが落ち着け、ここで取り乱したりしたらただの童貞じゃないか。・・いや童貞だけど・・

 あれ?でもちょっと待てよ、俺携帯持ってきたか?


「フフ、携帯ないんだったらまた明日ここにきて頂戴。ついでにほかのことも教えてあげるから」


 俺がポケットの中を必死に確認しているのと、楓さんが少し笑って俺に気を使ってくれる。

 つまり俺は明日も走ってここへ来なきゃならないのか。


「じゃあ、また明日」


今度は振り返る事なく、電灯が照らす薄暗い夜道を歩いていった。

 その背中を見つめながら、俺はこの人にどんな感情を抱いているのだろうか。そんなことを考えていた。

 



 数学教師のありがたい授業を耳から受け流し考え事をする。もちろん内容は決め手のことだ。

 楓さんは言わなかったけど、能力内でできる決め手じゃないときっと発動できないだろう。

 例えば、ただ殴るだけの能力なのに魔法が使えるようになる決め手とか。普通に考えてそんなことできるわけがない。

 さて、そのことを踏まえたうえでどんな決め手にしようか。

 やっぱりカッコいいのがいいよな。でも強化系ってのはゲームでもかなり使えるしな・・

 そんなことを考えていると、チャイムが鳴る。

 教師が「今日の授業はここまで」と言うと、週番が終わりの挨拶をする。

 そして、教師が教室から出ると同時にこちらに来る者が一名。


「タイチー、数学分かるかー?」


 そう言って俺の隣へやって来て、ノートを広げるの

はリュウジ。

コイツずいぶん早い段階でつまずいてやがんな。と馬鹿を見るような目でリュウジを一瞥してから、汚い字で書かれた数字が羅列するノートを覗く。


「お前・・これ中学生でも出来んぞ」


 そもそもこの高校はそんなにレベルが高くない。

 そのため数学はまだ簡単だ。・・まだ、な。

 教科書を見たが、後ろに行くにつれて何書いてるかわかんなくなってくるから、余裕ぶってられるのもあと少しだ。

 とはいえ今はまだ簡単なのでリュウジに教えることぐらいはできる。

 と言うわけで教えていると、


「うーん、よくわかんねぇからトイレ行こうぜ!」


 人がせっかく教えてやってんのにふざけてんのかコイツ?

 しかもよく分からないからつれションとか、その言葉の意味の方が分かんねぇよ。まぁいいや、俺もトイレ行きたかったし。

 リュウジが教室の扉を開けようとすると手をかける前に勢いよく開く。

 扉の向こうには、栗色の髪をサイドテールにした少女がいた。

 数秒間目の前のリュウジと目を合わせ、


「ノート返しなさーい!」


 と言って綺麗なアッパーをくらわせた。

 殴られた勢いでリュウジは宙を舞い、一回地面をバウンドして撃沈する。

 殴った本人は怒りの形相でリュウジを見下ろしていた。


「今度は何したんだよ、全く」


 俺はあきれながら目の前の少女、天堂瑠香(てんどうるか)に問いかける。

 なぜ名前を知っているかと言うと、同じ中学出身だからだ。


「こいつが私のノート借りたままで返さないから、さっきの授業がノート無いままだったのよ」


「いや、授業前に気づけよ」


 俺のツッコみに少し目線をそらすルカ。だが、素直に認めたくないのか、反抗してくる。


「そ、そうね。でも!悪いのコイツじゃん!」


 確かにノート返さなかったリュウジが悪いんだし、俺は何とも言えないんだけど。

 かと言って、あそこまで綺麗なアッパーする事ないだろとは思ったが。


「そうだな。てか、トイレ行きたいから通してくれ」


 それを聞いて道を開けてくれたルカの横を通ってトイレへ向かう。


「あ、待てよタイチ、俺も・・」


「あんたはノート返してから行きなさい!」


 なんだこの茶番は・・

 俺が呆れた顔で見ていると何かがぶつかってきた。

 ぶつかってきた方を見ると、壁のような大男がいた。

 身長も俺より高く、よく見るとそのでかさの原因は筋肉だということが分かる。

 あ、死んだな。と思った俺は、とりあえず「ごめんなさい」と謝っておく。


「い、いや・・こっちこそごめんなさい・・」


 おっと?こんな強そうな見た目しといてかなり弱腰だぞ?

 チラッと襟元のバッジを見ると1-Aと書かれていた。

 1-A?ルカと一緒のクラスなのか。


「ごめんなさい・・」


 もう一度謝って大男は1-Aの教室へ入っていった。

 見かけによらないとはこの事か。まぁ、俺が関わることはないだろう。

 そう思いながら俺は、トイレへ向かい歩いて行った。

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