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Revenge  作者: ひまじん
第1章 痛みに呻く
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エピローグ

「おはよー」


 俺は教室のドアを開け、前にいたリュウジへ声をかけると、驚いた顔でこちらを見ている。

 なんだコイツ、じろじろ俺のこと見て。


「タイチお前・・どうしたんだよ」


「?俺の顔になんかついてる?ついてんなら取ってくれ」


 そう言うも驚いた顔で微動だにしないリュウジ。

 なんなんだよ。


「別人みたいだね」


 サエも驚いた顔でこっちを見ている。

 なんだよ、別人みたいって。

 そういえば昨日家に帰ったらアカリが俺を見て同じこと言ってたな。

 そんなに変わってんのか?


「たいち・・昨日より・・?」


 神楽が俺の変わったところを言おうとしたが、言葉に詰まり首をかしげている。

 話の途中で俺に質問しないでくれ。

 しかし神楽だけは顔色一つ変えずにいるな。

 いや、神楽の場合表情に変化が少ないだけか。


「昨日はほら、すげぇ悩んでそうだったけど今日は、すっきりしてるってのか?なんて言うかオーラが違う」


 確かに昨日はすげぇ悩んでたし、家帰ってからも悩んでたけど・・決意一つでそんな変わるのもんなのか?

 俺がそんなことを考えているとチャイムが鳴る。

 すぐに担任が入ってきて、今日も学校生活が始まるのだった。





「おかえりー!」


 家のドアを開けるとアカリが俺を出迎える。

 俺がただいま言う前に言ってきたのを見ると、俺が返ってくる時間が分かってたのか?


「ただいま」


 俺がそう言うとアカリが俺の胸に顔をうずめる。


「離れろー」


 たぶん離れないだろうなと思ってあきれていると、アカリは心配そうな顔で俺を見上げてきた。


「どうした?そんな顔して」


「今日は大丈夫?何もなかった?」


 アカリは俺を心配してくれてたのか。

 ここ2日は他人に心配されてばかりだったな。リュウジ達もきっと俺を心配してくれてたのかもしれないな。

 そう思うとみんなに迷惑かけたなと自分を責めたくなる。


「大丈夫だよ、今日は家を飛び出したりしないから」


 アカリを安心させるように微笑んで答える。


「ごめんな、心配かけて」


 後悔先に立たずという言葉があるが、今まさにその通りだなと思った。

 ただ俺にできるのは謝ることだけだ。


「昨日も同じこと言ってたよ、お兄ちゃん。ごはんまだだから着替えてきたら?」


 あの戦いの後家に帰って同じやり取りしてたなそういや。

 思い出して少し笑いながらも、悪いことしたなとか色んな感情が混濁している。

 鏡を見なくてもわかる。俺は今ものすごく間抜けな顔をしている。

 俺の顔を見て笑い転げているアカリが何よりの証拠だろう。

 俺はもしこの日常が崩されるとしたら、何が立ちふさがっても戦おう。

 妹の笑顔を見ながらそう決意した。




 反転世界に行くには反転と言えればどこでも構わないそうだ。

 例えば自分の部屋でも良いらしい。

 今は午後8時56分か、約束の時間まではあと4分あるな。

 今日は戦わないかもしれないが、心の準備はしておこう。

 時間になると携帯が鳴る。

 俺は腰かけていたベットから立ち上がり、右手を前に伸ばし深呼吸を一つする。

 

「反転」


 俺の世界は、反転した。 

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