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プロローグ
私はアイツらとは違う。
他人を貶めて笑うような連中とは違うのだ。
男は逃げる。
私はあんなクズどもとは違うんだ。
私は優秀で、誰からもうらやまれる存在のはずだ。
男は自分の内側から湧き出てくる感情を否定しながら逃げる。
私はアイツをいじめてなんてない、ただ事実を言っただけだ。そもそも私の言ったことを守れなかったアイツが悪いんだ。
だから私は悪くない。
男は逃げている。
それが罪悪感だと心の中では気づきながら。
自分はアイツを馬鹿にして楽しんでいたという事実から。
私はアイツらとは違うんだ
心の中で何度も叫びながら、男は逃げ続けるのだった。