恋は戦争
「江美、浮かない顔してどうした」隣にいるのは1個上で私の許婚、彼氏で生徒会長の西園寺 修哉くん。富豪が集う姉ヶ崎高校でトップレベルの金持ち、なぜなら今を羽ばたく西園寺財閥の長男だからだ。創立以来の秀才で文武両道で超イケ面だけど難点は性格。私以外に興味が無い上、束縛癖が酷くてあまり自由になれない。それに、彼は私に対しても最低だ・・・。さらに最大の難点。それは、私の好きな人は別にいること。
最低なことは自覚しているけど、私は副会長の道明寺 樹君と付き合っている。樹君と修哉君はクラスメイトなのに犬猿の仲。完璧だけど冷たい修哉君は、一見だらしないけど完璧な樹君とは相性が悪い。私は、傍人無若でお調子者だけど人間味があって、暖かくて頼りやすい樹君が好き。道明寺財閥も、最近急成長している。
生徒会長と、副会長の選挙以外は会長たちで役員を選べるので私は会計、くるみさんは書記兼任広報として働いている。葉月くるみさんは大人っぽい美人だから後輩男子の憧れの的、樹くんとは親同士が親友だから仲がよかったみたい。ちなみに、会長が手伝ってくれるのでボッチで頼れない私はどうにかできている。
では私はというと、童顔巨乳な美少女、という冗談はさておき。麻薬会社の社長令嬢だ。潰された日から私の幸せは無くなった。社交パーティーで修哉君は私に一目ぼれしたらしい、私は9歳。その直後麻薬会社倒産、息子が可愛い社長は私を許婚にすることを条件に再建させた。私の両親は泣きながら謝っていた。修哉君は優しいお兄ちゃんにしか思っていなかった。両親は何度も「修哉様に逆らっちゃいけない」など言っていた。ただ面白かった。いろんな場所に連れて何でも買ってくれ、勉強も教えてくれた。楽しかった。
「好き。大きくなったら修哉お兄ちゃんのお嫁さんになる。」
「そっか、俺も江美好き。なら、お兄ちゃんのためにお洋服脱いでくれるよね」
喜んでくれたことが嬉しくて体中触られたこと、舐められたことは気にならなかった。舐めてといわれた、嫌だった
「俺に逆らうなといわれなかったのか」
まだ、それが意味することや、彼が誰にも言うなと毎回言う意味は理解できなかった。
セクハラが悪化するたび成長が止まることを願っていた。
「江美したくない。やめてよ、修哉君。お願い、やだ」
初潮を迎える前に処女を奪われた。修哉君が私を貢物呼ばわりした意味、私は両家庭の生贄になったのだということは理解した。
すべての平和は犠牲の上に成り立ち、人は99人の幸せをあと一人の不利益であっても幸せだといってかかるのだ