面白い?面白くない?
「なに、ゲームと言ってもただのトランプだよ」
なんだよ、めっちゃ悪人みたいな顔だったからもっと怖いものかと思ったわ…
と、安心していると
「ただし、明日の分のお菓子を負けたやつの自腹で買ってくる、というペナルティがあるが」
「え、この部って明日もやるの?」
「それはそうだよー。じゃなきゃ面白くないよね〜」
ひなは相変わらず面白いかそうでないかという価値観によって動いている。
「休みの日はないの?」
「お前はこの部をなんだと思ってるんだ」
「謎の美少女二人によるほのぼの系の部活?」
「違う!!この部は解決部だぞ?だったら常駐してるのが当たり前だろう。よって、休みの日はない。けど、この教室であれば何をやっていても構わない」
「へぇー…どうりで教室には似合わないものばかりあるわけだ…」
周りを見るとパソコンやらモニターやらゲーム機やら……TVまであるよ。
「ちなみにパソコンやモニターはひなの私物だから壊さないようにな」
「へー、意外だ。機械は苦手そうなのにな」
「なにいってるの?私はめっちゃ機械に強いんだから!!」
今までお菓子に夢中で会話に参加していなかったひなが言う。
「そうだぞ。ここにいるのは何らかの特技があるものだけだ」
…人は見かけによらないなぁ…
「で、ゲームするんだろ?ちゃっちゃと何やるか決めようぜ」
少し強引だったが話を逸らす。
「ああ、じゃあここはやはり王道に…大富豪でどうだ?」
「いいね」
ニヤリ、と俺は笑う。
「ルールはまあ普通の大富豪。役上がりやジョーカー上がり、2上がりは認めない…こんなところでいいか?」
「まあ、そんなものだろうな」
「じゃあ私がカード配るねー」
と言いひながシャッフルし、カードを配る。
「真剣勝負だ。じゃあ私からいかせてもらおうか…!!」
ゲームが始まった。
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「だぁあー!!!くそっ!何で勝てないんだ!!」
「ちょっとおかしいよねー…イカサマ?」
「イカサマなんて使うわけがないし、俺はカード配りをしていないぞ?どうやって仕掛けをしろっていうんだ」
ニヤニヤしながら答える。
大富豪の結果は10戦中俺が大富豪が九回、ひなが一回、麗さんは0回だ。
「ま、ひなが機械に強いようにこれが俺の特技ってことさ」
「トランプで強いってこと?」
「どんな特技だよ!!!しかも使い所が微妙すぎるわ!!……ったく…」
「でも、イカサマしてないなら何でそんなに強いの?私、ジョーカー二枚の時とかあったのに勝てなかったんだけど」
「心理学の応用ってやつさ。俺らは適当に話しながらやってただろ?そこにいろいろ仕掛けをして、あとは俺が相手にどう見えているかを考えながらカードを選んでいく…まあ、こんなもんだよ」
実を言うとそれだけではないがここで言う必要はないだろう。
「ほぇー…すごいことできるんだねぇ…!」
「そこまでいくと気持ち悪い気もするけどな」
「負けたからって絡むなよ。じゃ、お菓子は麗さんに決定な。じゃ、そろそろ俺は帰るわ」
「次は絶対負けないぞ!」
「じゃあね〜」
カバンを持って教室を出る。
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帰り道、俺はふとコンビニに寄りたくなったのでいつもとは違うルートを使って帰っていた。
コンビニに行き妹への貢ぎ物を買い、河原のそばの道を歩いていると、
「そんなもんおめぇにはもったいねぇよ!!」
「ぎゃっはっは!!いいぞ〜もっとやれぇー!」
「か、返して下さい!」
謎の不良集団に女の子が一人立ち向かっていた。
(いや、見た感じ立ち向かっているわけではないか…)
暴力などが始まったら助けようと思っていたがどうやらそういうつもりではないようだ。
「ほら、とってみろよ!」
「やめてください!返して!」
「返して欲しかったら…自分で拾ってこい!!!」
と、不良Aが何かを川に向かって投げた。
「ああっ!!」
女の子はひどく落ち込んでいるようだ。
「じゃ、早めに持ってきてよ?じゃないと……どうなるのかなぁ?」
不良のリーダーみたいな人が言い去って行った。取り巻き達も付いて行って消えた。
「うう……どうしてこうなるの…」
女の子は泣いているようだった。
(うーん…状況から察するに女の子の大事なものが川に捨てられ…なんか脅されてるのかな?)
と、そこまで考えめんどくさくなったので立ち上がる。
(ま、俺には関係ないし早く帰って妹さんのご機嫌でもとりますかね)
すでに周りは暗くなっており、普段と比べ帰りも遅くなっているので何も連絡をしてない妹が怒っているだろうという予想をたて家路を急いだ。