六刻
孫子は大切です
『【我コソハ神ト成ル者ダァ!! ナノニ何故貴様ヲ倒セレヌノダァ?!】』
ショゴスは理解できなかった
己の繰る技のほとんどが
サタンによって
無力化され続けることに
【未だ理解し得ぬのか? 我に貴様の攻撃が通じぬことが】
『【己……オノレ……オノレェ!!】』
戦いに置いて最重要なのは
戦局を冷静に判断すること
自身の力量と相手の力量の差
勝利するための策の構築
戦局の流れの把握
流れゆく水のような
柔軟な対応
それらが必要となってくるが
ショゴスはそれを怠ったゆえに
敗北を喫していた
【大人しく自身の敗北を認めろ】
『【我ハ認メヌゥ!! 神ト成ルノダカラナァ!!】』
【なら、否が応でも認めさせるまで】
サタンは黄金の片手剣を構えると
ショゴスに向けて
瞬足で突撃する
『【ソンナ手ハ通ジハシナイィ!! コノ爪デ薙ギ払ッテクレルワ!!】』
ショゴスはサタンの
瞬足での突撃を
自身の爪で防ごうとする
【馬鹿め。貫いてくれるわ】
瞬足での突き
瞬発力を伴って
繰り出される突きは
一点に収束されることにより
貫通力を生み出すもの
それを防ぐためには
貫通力を上回る硬度が必要
そしてショゴスの爪は
サタンの
貫通力を伴った突きを
上回る硬度は持っていないゆえに
ショゴスの爪は
サタンの突きに
衝突した瞬間
ひびが入り砕けた
『【グァァァ!? ナゼ我ガ爪ガ砕ケタノダァ!?】』
己が武器の一つを
激痛とともに失ったショゴスは
この場では致命的に匹敵する
悲鳴をあげた
【ふん、これで胴体ががら空きだ】
その隙を見逃すほど
サタンは甘くはない
【さぁ、暴れさせてもらうぞ】
ショゴスの懐へ着いたサタンは
黄金の片手剣に闇を纏わせ
舞い始める
踊るように切り裂くために――
冷静さは一番大切です