五刻
無双が始まります
『【何度来テモ同ジダ!】』
ショゴスはサタンに向けて吼えると
息を吸い込み始めた
【毒の吐息か? ならこうするだけだ】
サタンは
ショゴスの挙動から
次の攻撃を予測すると
ショゴスへの突撃を止め
左手を突き出し
対抗のための呪を
練り始める
『【我ガ吐息ヲ喰ラウガイイ!!】』
ショゴスの口から放たれるのは
猛毒を含んだ
敗者なる竜に相応しき
禍々しい毒の吐息[ポイズンブレス]
それをサタンへと
弾丸のように
打ち出しながら
【ほう、そう来るか。しかし、甘いわ!!】
サタンはショゴスへの対抗のために
練り終えた呪を解き放つ
それは猛毒の吐息の弾丸を包むように
ショゴスを呑み込むように広がった
虚無に等しき無輝の闇
サタンが解き放った
無輝の闇に
ショゴスの放った猛毒の吐息の弾丸が
ブラックホールに吸い込まれるかのように
呑まれ消えていった
『【ナ、ナニィ!? 貴様ァ、ナニヲシタァ!?】』
ショゴスは悲鳴じみた叫びをあげる
それもそのはず
己が持つ大技を
完膚無きまでに
防がれたのでは
――叫ばずにはいられない
【意図的に虚無の闇を生み出し、呑み込ませただけだ。まぁ、難点としては数十秒程度しか持たないことか】
意図的に虚無の闇を
生み出すという行為
並大抵の力では
圧倒的に力と
時を不足する行為を
サタンはただ
呪を練るという
多少の時がかかるが
片手間できる程度の
工程のみで
やってのけたのだ
そしてそれが
覆されることのない戦局を
打たせることとなった
すなわちサタンによる
反逆者ショゴスの鎮圧
及び――ショゴスの処刑という
想造主によって想定されし結末を
確定されたのだ
だがショゴスは
そのことを悟れない
神へ至るという
愚酒の酩酊が
そのことを悟らせないゆえに
ショゴスはさらなる暴挙と出る
それこそ
己が身体を滅ぼす所業
最悪的な形でようやく現れる
反逆者ショゴスの決定的な敗北――
容赦無いです