第5章(3)
夜も更けて、真吾と藤田は、2人して夜の街へ出掛けて行った。
気を使いやがって…。
「それでは、私も休ませて頂きます。」
そう言って、桜は以前使っていた客間に戻ろうとする。
「…何処に行くつもりだ?」
廊下にもたれ、腕を組んだまま俺は彼女に尋ねた。
キョトンとした桜が客間を開けると、其処は物置と化していた。
「えっ?あの…。」
「お前の部屋は、此処だ。」
俺は、自分の部屋のドアを開ける。
「でも、其処は所長の…。」
「だから…」
俺は桜の身体を抱き上げ、自分の部屋に入りベッドに座らせる。
「俺達は、ずっと一緒の部屋で生活してんだよ。」
彼女は、耳まで赤くなりながら、身をすくめて小さな声で言った。
「あ…でも、私、もう治りましたし…。」
そう言って立ち上がる桜の手を捕まえる。
「…もう離さねぇ。」
引き戻し、俺の腕の中に捕らえる。
身体を硬くする桜の耳元に、
「俺は、もう…待つ気はねぇからな。」
と言って押し倒す。
「でも、真吾さん達が…」
「帰って来ねぇよ。今夜はな…。」
そう言いながら、彼女の帯を解く。
どうすればいいか、震える彼女の耳元で、
「…嫌か?」
と尋ねると、彼女は被りを振った。
「…桜…。」
俺は彼女の耳朶を噛み、首筋に肩に、唇を這わせた。
秋の月が、彼女の肌を青白く照らす。
小刻みに震える身体が、彼女の喘ぎが愛しい。
「桜…愛してる。」
何度も何度も呟きながら、俺は彼女を自分のものにした。