41:呼び出し
それは本当に何でもない普通の日でした。
普段は自分の部屋でレース編みなどをして過ごし、夜や休みの日はエドの部屋でのんびりと過ごすようになっていました。
エドはカフェで出す新商品を考えたり、コーヒーに泡立てたミルクのようなものを入れて絵を描く、ラテアートの練習などを。
私はその新商品や練習品をいただいて舌鼓を打つなんて楽なポジションですが。
コンコンコンと軽いノックの後に「お呼び出しがありました」とドアの向こうから声が聞こえました。
そして、ドア下の隙間からスッと滑るように封筒が差し込まれました。
「……分かった」
エドはそれだけ答えると、封筒を拾い上げ中身を確認して大きな溜め息を吐き出しました。
その様子から、あまりいい内容ではないのかもと心配になりましたが、聞くに聞けなくて少し悩んでいました。
手紙の主はきっと国王陛下なので、そもそも私に話せることなどないのでしょうが。
「アレキサンドライト、登城するための服は持っているか?」
「え? ええっ?」
「ないならサブリナに借りに行こう」
――――え?
どうやら今すぐに王城に行かなくてはならないらしく、サブリナ様のドレス店に向かいエドが彼女に事情を話すと、すぐさま私が着られるドレスを用意してくださいました。
「ご無理をお願いしてしまい、申し訳ございません」
「いいのよぉ。エドなんてここを貸衣裳屋みたいに使っているだけだし。それよりも!」
サブリナ様が胸の前でパンと手を叩き、私にドレスを着せて最高に飾り立てるわよと、従業員の方々に指示を出していました。
サブリナ様が選んだドレスは、みぞおちから胸元までを金と透け感のある白いレースで構成し、裾はくすみ系の水色チュールが幾重にもなっているAラインドレスとエンパイアドレスの間のような、落ち着いた中に可憐さが残るようなものでした。
「この色だと、アレキサンドライトの瞳が映えるのよね。髪は緩やかめのシニヨンで、ダイヤと金細工の髪飾がいいわね。すぐに取りかかってちょうだい」
「「かしこまりました」」
そうして、サクサクっと準備が整い、こんなにも豪華な正装は初めてだとか驚く時間もないままに、馬車に詰め込まれました。
これから直ぐに王城に向かうとのことです。





