40:――――愛。
お昼はかなり過ぎたとはいえ、日中からこんなことしていていいのかと少し思うのですが、この流れを止めてしまったら次のチャンスはいつになってしまうのか……なんて思ってしまいましたから。
それとは別に、エドが私に興奮してくれているという事実に、心臓が締め付けられています。単純に求められるのが嬉しいのです。
お互いに妙に焦りながらエドの部屋に入り、ベッドになだれ込み、唇を重ねて歯をぶつける。
「いたっ」
「すまん……」
「ふふっ」
地味な痛みのせいで少し冷静になり、お互いにくすくすと笑ってしまいました。
エドがふわりと微笑んで「いいか?」と聞いてくれます。
「はい」
私も微笑み返し、ゆっくりとエドの首に腕を回して抱き着くと、柔らかく包み込むように抱きしめてくださいました。
好きな人とひとつになれるのは、こんなにも多幸感に包まれるのだと知りました。
他人の肌がこんなにも温かく熱くもあるのだと知るのも、初めて。
幸せすぎて涙が勝手に出てくるのも、初めて。
初めてだらけなのに、それを体感したときに心に灯る炎は、知っているのです。
それは――――愛。
「エド、愛してます」
「俺もだよ。愛してる」
いつの間にか眠っていたようで、夜遅くに目が覚めるとエドのベッドで一人で眠っていました。
掛布で身体を隠しながらキョロキョロとあたりを見回していると、部屋のドアがガチャリと開きました。廊下からの逆行でシルエットしか見えませんが、どうやらエドのよう。
「起こしたか?」
「いえ、起きました」
「ん。ちょうどよかった」
エドが右手に持っていたコップをこちらに差し出しました。中はどうやら紅茶のようです。
「身体は大丈夫か? 無理させてすまない」
ふるふると首を振りながらベッドに腰かけると、エドが隣に座って肩からガウンを掛けてくれました。
「こういうところは紳士なのですね」
「他は違うか?」
「…………はい。その……」
日中に二人で睦み合っていたことを思い出してしまい、視線を彷徨わせていましたら、エドがニヤリと笑いながら顔を覗き込んできました。
「何を思い出してるんだ?」
「べ、別に、何もっ」
「ふぅん?」
エドが笑みを深くしながら、私の髪の一房を指先にくるくると巻き付けて遊び出しました。しかも、そこにキスを落としてくるのです。
心臓がギュムッと締め付けられて少し苦しいのですが、それが甘くも感じてしまうので、恋とは本当に難儀なものだなと思いました。
「……なぁ、こっちに住めよ」
「こっち? エドの部屋に、ですか?」
「ん」
髪の毛を解放したかと思ったら、今度は首筋に顔を寄せてチクリとしたキス。
「あっ、そこダメッ。見えてしまいます」
慌ててエドの頭を押し返そうとしたのですが、逆に押し倒されてしまいました。
「見えるとこにしてんだよ。それより、どうだ?」
強気なセリフの割に、エドの表情はちょっと不安そうでいて、なんだか捨てられそうな子犬みたいです。
エドの頭をよしよしと撫でながら、考えておきますと伝えると、しょんぼりとされてしまいました。
「嫌とかではなく、生活の時間が違いますし、エドの負担にはなりたくないのです」
「……イケメンかよ」
「女性ですが?」
「メンタルがなぁ。イケメンなんだよな、アンタ」
エドがクスクスと笑いながら啄むようなキス。
私の決断を待つと言ってくださいました。エドのほうが充分にイケメンだと思うのですが、エドは私のほうがイケメンだと更に言います。
なんだかイケメンの押し付け合いになってしまいました。





