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4:新しい人生の始まり




 二階に到着すると、真っ直ぐな廊下の左右にドアが六つと突き当たりにドアが一つありました。

 突き当たりの部屋の右隣が貸してもらえるお部屋とのことで、中を見せていただきました。


 そこは古くはあるものの、温かな木の匂いが漂うこぢんまりとしたお部屋でした。

窓際には生成り色のシーツが張られた、清潔感のあるベッド。空いているスペースに小さなテーブルとイスがあり、壁にはクローゼットと本棚が埋め込まれています。

 室内にある扉はトイレとお風呂につながっているそうです。


 店主さんは、清潔感あふれる部屋とは違う、と言われていましたが、室内は木の匂いとお日様の匂いが混ざりとても落ち着く空間ですし、シンプルな生成り色の寝具とカーテンも気に入りました。


「素敵なお部屋です! 店主さん、お貸しいただけますでしょうか?」


 胸の前で手を組み店主さんを見あげると、またハァと大きなため息のあとに危機感が薄いとボヤかれてしまいました。


「だめ、ですか?」

「ウルウルと見つめてくんな。そもそも、俺から提案しただろうが。貸してやるって」

「まぁ! ありがとう存じます」


 つい癖でカーテシーをしてしまい、店主さんから「そういうとこやぞ?」と言われましたが、そういうとことはどういうとこなのでしょうか。

 はて、と首を傾げていましたら、店主さんにおでこをペチンと叩かれてしまいました。


「いたっ」

「そんな強くしてねぇよ。店主さんじゃなくて、エドだ」

「はい、エド様」

「……様はやめろ。エドでいい」

「承知しました。エド」

「ハァ。あと、そのお嬢様言葉もどうにかしろ」

「お嬢様という年齢ではございませんが…………いったぁぁぁい!」


 またもやおでこを叩かれました。今度は指で弾くように。デコピンという名の攻撃だそうです。

 

「ったく。口だけは一丁前だな」


 エドにほらよと鍵を渡されました。

 お風呂などの使い方も教えてもらいました。


「エド、ありがとう存じます」

「いいよ。アンタをそこらに放り出すよりはマシだろ。俺の良心が」


 エドが言っている意味はわかりませんでしたが、エドが優しいのは確かです。

 部屋から出ていくエドにもう一度お礼を言って、エドに言われたとおりにドアに内鍵をかけました。

 荷物をとりあえず棚の近くに置き、ベッドにダイブ。


 今からこのお部屋が私のお城です。

 ひとまずお風呂に入って、今日はゆっくり眠って、明日から、新しい人生の始まりです。


 何をしましょう?

 メイドのカリナから聞いていた、レースを買い取ってくれていたドレス店に挨拶に行くのもいいわよね。

 

 これから毎日、誰にも邪魔されずレース編みをして、今までより沢山納品したり、エドのお店の手伝いなんてのも楽しそうです。

 私、お皿洗い得意なんですよね。

 明日の朝にでも提案してみようかしら?




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