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【書籍化決定】どうやら私、妻ではなかったようです  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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14/35

14:パン・ペルデュ(フレンチトースト)

 



「……何してんだ?」


 ドアがノックされて、エドが戻ってきたのだと分かりましたが、立ち上がれませんでした。

 だから、お願いしたのです。ドアを開けて入ってくださいと。今ちょっと無理なのでと。


「気にしないでください」

「いや、無茶な」

「…………エドのせいです。エドがあんな破廉恥なことするからっ」

「はれんち……っ、くくくくく」


 エドが笑いを堪えながら部屋に入ってきてテーブルの上にお皿を置くと、私の前にしゃがみ込みました。


「立ち上がれないんだな?」

「はい。エドのせいで」

「分かった分かった。俺が悪い。アンタの初心さをナメてた」


 なんだかバカにされた気がするのですが、エドはバカにしてねぇよと言いながらも笑っていました。

 エドが私の両脇に手を入れて、持ち上げるようにして立たせてくれたのですが……なんと言えばいいのでしょうか。幼い子どもを扱うような感じとでも言えばいいのか……とにかく、なんだか不服に感じてしまいました。


「なんで怒ってんだよ」

「別に……怒ってますけど…………」

「どっちだよ。ったく、ほら座れ」


 テーブルのイスに座るよう促され、ヨタヨタしながら移動しました。

 イスに座ると、エドが持ってきていたお皿の中のものをフォークでプスッと刺しました。


「ほら、口開けろ。あー」

「え? あー?」


 あー、と言われて真似をしたら、口にパンで作ったデザートをムギュッと詰め込まれました。


「んむ!? ふあ……パン・ペルデュですか?」

「あぁ。本来は古くてカスカスに乾いたパンとかでやるのがお勧めだが、アンタが買ってきたやつは既にそんな感じのやつだからな」

「だって……安かったんですもの」


 安売りコーナーに置いてあったので、たぶん売れ残りだったのでしょう。それが更に1日経っていたので、まあ確かに水分は抜けていましたけど。


「調理次第でどうとでもなるんだから、いいパン選んできたってことだよ」

「そう、なんですかね?」

「美味かっただろ?」


 そう聞かれると、確かに物凄く美味しかったです。

 卵とミルクがしっかりと染み込んでいてフワフワでしたし、たっぷりのバターで焼いたらしく、香ばしさが鼻から抜けて行きました。

 

「ほら……」


 エドがまた私の口にパン・ペルデュを運んで来ました。今度は自ら口を開けてパクリ。


「んーっ、おいひいれす」

「機嫌は直ったか?」

「はい。美味しいパン・ペルデュに免じて、許してさしあげます」

「んははは! ありがとな」


 エドが少年のように笑い、私の頭をひと撫でして部屋を出て行きました。

 

 エドが作ってくれたパン・ペルデュを、今度は自分の手で食べました。

 ゆっくりと噛み締めて。

 甘かったからなのか、沢山あったからなのか、お腹がいっぱいなのか、胸がいっぱいなのか……分からないけれど、夕食は入りそうになかったです。




下の方に刊行情報入れてますです。

気になられた方は、じぇひっヽ(=´▽`=)ノ

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