表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『40歳OLと高校生、世間では“母子”、本当は恋人――バレたら即終了の年の差ラブコメ、始まります。』  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
シーズン5《社会人5年目&家族拡大 第二子妊娠・出産に家族の試練と再生編》
81/83

第8話「はじめまして、妹ちゃん」




――それは、予定よりも2週間早い朝だった。


外はまだ夜が明けきらず、薄明の空に雲がかかっている。

真希が布団の上で小さく呻いたのは、午前4時過ぎ。


「……あ……痛っ……?」


鈍い痛み。下腹部に波のような感覚。

眠気を吹き飛ばすような冷たい予感に、真希は身体を起こした。

――そしてすぐに気づく。

シーツの下、温かい感触と濡れた感触。


「……まさか、これ……破水?」


静かに、しかし確実に現実を突きつけられる。

予定日までまだ2週間。だが双子の妊娠は、早まることがあると聞いていた。

――そして今、まさに“その時”が来たのだ。


「悠真っ……!」


寝室の隣で仮眠していた悠真は、妻の叫びで飛び起きた。

状況を一瞬で理解し、即座にバッグを掴む。


「よし、行こう。タクシー呼ぶから、ゆっくり立って。荷物は全部準備してる」


その冷静さは、まるで何度も練習したかのようだった。

いや――実際、何度も想定し、備えてきたのだ。

父親として、家族の一員として、そして何より“夫”として。


そして、数時間後――


まだ朝焼けが差し込む前の分娩室で、静かに、けれど確かに――ふたりの命がこの世界に生まれ落ちた。


「……おめでとうございます。女の子、おふたりです」


真希の目尻に、涙が浮かぶ。


初めての泣き声。

初めての呼吸。

そして、保育器の中で眠る小さな小さな手足。


「……ふたりとも、よく……来てくれたね……」


隣で見守っていた悠真が、真希の手を強く握る。

彼の目にも、涙が浮かんでいた。


「ありがとう、真希さん……ほんとに、ありがとう……」


「名前……決めてたのよ。ふたりとも、“未来”が見えるようにって……」


「……うん」


後日、NICU(新生児集中治療室)のガラス越しに、ひとりの小さな男の子が静かに佇んでいた。

――結翔、3歳。


白い小さな毛布に包まれたふたりの赤ちゃん。

名前は、未来みく莉嘉りか


「……ちっちゃいね……でも、なんか、つよそう」


真希が後ろからそっと言った。


「あなたの妹たちよ。お兄ちゃん、よろしくね?」


「うん」


小さな声、小さな手。けれど確かな“誓い”。


結翔は、小さく頷いた。

大人たちが思うより、ずっと早く。

ずっと前から、この日を待っていたように。


「“お兄ちゃん”って呼ばれるの、楽しみ」


「きっと未来と莉嘉も、あなたに会えるの楽しみにしてたわ」


「……じゃあ、まずは名前、教えてくるね」


結翔は、そっとガラス越しに手を振った。


「ねえ、未来ちゃん。莉嘉ちゃん。……ぼく、お兄ちゃんだよ。今日から、ずっと守るからね」


小さな命と、小さな手と、小さな誓い。


春日井家は、ついに5人になった。


“生まれる”という奇跡を、

“迎える”という愛情で包み込みながら――


新たな物語が、ここから始まっていく。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ