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『40歳OLと高校生、世間では“母子”、本当は恋人――バレたら即終了の年の差ラブコメ、始まります。』  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
シーズン5《社会人5年目&家族拡大 第二子妊娠・出産に家族の試練と再生編》
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第3話「家族会議、結翔は知っている」



夜のリビング。

白い天井に、プロジェクターの光がやわらかく揺れている。


春日井家では、週に一度“家族だけの映画ナイト”がある。

この日も、真希はソファにクッションを置き、悠真はその隣で息子・結翔と一緒に、ポップコーンの袋を取り合っていた。


「ねえママ、今日は『ポケ忍』観ていい? 絶対泣かないから!」


「うーん……前回も“泣かない”って言って、途中で鼻水ぐすぐすだったじゃない」


「だって……ポケ忍死ぬんだもん……」


「ネタバレ……」


悠真が苦笑して呟くと、結翔は口を尖らせ、ふて寝のように母の膝へ頭を乗せた。


そうして、いつも通りの夜が過ぎていく……はずだった。


が、その時――


「ねえ、ママ」


結翔が、不意に言った。


「ママ、おなかに……赤ちゃんいるでしょ?」


ピタリと、空気が止まった。


ソファに沈んだ真希の身体がわずかに揺れ、

悠真が思わず、ポップコーンの袋を落としかけた。


「な、なんでそう思うの……?」


ごまかす声になってしまった。

けれど息子は、どこか不思議な眼差しで、彼女の顔を見つめていた。


「うーん……ママのおなか、ちょっとふっくらしてるし、最近よく眠そうだし……

あとね、ママ、時々“おなかの中の子”に話しかけてるよね? 小さい声で」


(……見てたの……?)


「……結翔、すごいな……」

悠真が小声で呟く。


小さな子どもの勘――それは時として、大人の隠しごとをあっさりと見抜いてしまう。


「そっか……ママ、おなかに赤ちゃんがいるんだね?」


結翔の言葉には、不安も、嫉妬も、混じっていなかった。

ただ、純粋な確認だった。


真希は少し目を伏せたまま、ゆっくりと頷いた。


「うん。ママのおなかの中にはね、赤ちゃんが……いるの。しかも……ふたり」


「……ふたり!?」


結翔の目が、まんまるに見開かれた。


「じゃあ、ぼく……お兄ちゃんじゃなくて……お兄ちゃんズになるの?」


「……なるほど、その発想はなかったわ」


真希がくすりと笑うと、結翔も釣られて笑い出す。


「男の子? 女の子? どっち? 名前決めてる?」


「まだぜんぜん。でも、結翔と一緒に考えられたら嬉しいな」


「ほんと!? よし、ぼく、今夜からお兄ちゃんトレーニングする!」


結翔は勢いよくソファを飛び降り、自室に走っていく――

と、廊下の途中で戻ってきて、母のお腹にそっと耳を当てた。


「ふたりとも……ママのおなか、あったかいね」


その言葉に、真希は涙がにじむのをこらえられなかった。


――家族として、いま、新しい一歩を踏み出した。

守る命がひとつから、ふたつに。

そして、家族の“かたち”も、またゆっくりと、変わっていく。


その夜、真希と悠真は静かに話し合い、

翌朝――


彼女は、信頼できる数人の仲間たちに向けて、短く、けれど真剣に告げた。


「……いま、お腹の中に、双子を授かっています。まだ不安も多いけれど……どうか、力を貸してください」


進藤あかりが目を見開いた。

赤井美波は深くうなずき、村瀬翼は少し涙ぐんだ。


氷室結衣社長は、短く一言、「報告、ありがとう」とだけ。

橘理沙副社長と瀬川陽翔は、それぞれの立場から具体的なサポート案を即座に出し始めた。


真希は、その反応を見ながら思った。

――自分は、独りじゃない。


ただし、これから先。

「社外」と「一部の社内」には、引き続き何も知らせるつもりはなかった。


静かに、慎重に、5人家族の未来を守るために。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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