第7話「母親役じゃ、守れない――年上彼女、プライドの夜」
◆ ある日・放課後
悠真が教室で荷物を片付けていると、
山口美羽が、少し恥ずかしそうに声をかけてきた。
美羽「……あのさ、悠真くん。
よかったら、次の日曜、一緒に映画……行かない?」
突然の“デート”お誘い。
悠真「え……いや、俺……その日は、予定が――」
美羽「そっか……そっか……
もしかして、家の人と?」
悠真「……まぁ、家族っていうか……うん……」
(心の声)
――いや、“家族”じゃなくて“彼女”なんだけど!!!!
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◆ 家・その夜
悠真がその話を真希にすると、
彼女は微妙な顔をして、ワイングラスを揺らしていた。
「……デート、誘われたの?」
「まぁ……断ったけど」
「……いいのよ、年上彼女なんだから、
若い子にモテるくらい当然だって……思ってる……はずなのに……っ」
真希、プライドと嫉妬がせめぎ合い中。
悠真はふっと笑って、隣に座ると
そっと手を握った。
「俺が好きなのは、真希だけだって」
「……もう、ズルい……」
涙目になった彼女を、
そのまま優しく抱きしめ、額にキス。
「母親役じゃなくて、彼女でいさせてよ。
俺の一番、大切な人でいてくれ」
「……当たり前じゃない。あなたの彼女なんだから」
ふたりの間に、静かで甘い時間が流れる。
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◆ 翌日・学校
そんなこととは知らず、
山口美羽は森下 美優(ママ友)にこんな相談をしていた。
美羽「ママ、私、悠真くんのこと、ちょっと好きかも……」
森下「まぁ! じゃあ、今度ウチに誘ってみたら?
悠真くん、母親思いの優しい子だし、ちゃんとした恋、してほしいわよね」
――母親の前で、その母親(=真希)が涙目になってるとも知らずに。
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◆ 夜・再び
ソファで甘えてくる悠真に、真希が小さくため息。
「……若い子って、やっぱり可愛いのよね。
私じゃ、物足りないんじゃない?」
悠真はキスしながら、静かに言った。
「俺は、お前がいい。
大人っぽいくせに、時々甘えてくるとこも、
母親っぽくて、でも一番彼女なとこも、全部、好きなんだよ」
真希は、涙をこらえながら笑った。
「……もう、バカ」
そして、またそっとキスを重ねる。
年齢も、世間も、全部関係なく。
ふたりの心だけが、繋がっていた。
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